平成28年 予備試験 短答式 民事訴訟法 第36問 解説
問題
確定判決の拘束力に関する次の1から5までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを2個選びなさい。
1.売買による所有権の取得を請求原因として買主が提起した所有権確認請求訴訟において,被告である売主が詐欺を理由として売買契約の取消しをすることができたのにこれをしないまま口頭弁論が終結し,請求を認容する判決が確定した場合には,売主は自己の所有権の確認を買主に対して求める後訴において当該取消しを主張して買主の所有権の取得を争うことができない。
2.貸金返還請求訴訟において,被告である借主が相殺適状にある反対債権を有していたものの,相殺の意思表示をしないまま口頭弁論が終結し,請求を認容する判決が確定した場合には,借主は,その確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて,その後にした相殺の意思表示による債務の消滅の効果を請求異議の事由として主張することができる。
3.甲土地の所有権を主張するXが,Xからの贈与を原因とする所有権移転登記を有するYに対して贈与の不存在を理由に当該登記の抹消登記を求める抹消登記手続請求訴訟を提起した場合において,判決の理由中の判断においてXに甲土地の所有権があるとして,請求を認容する判決が確定したときは,YはXに対して甲土地の明渡しを求める後訴においてYが甲土地を所有する旨を主張することはできない。
4.土地の賃貸人から提起された建物収去土地明渡請求訴訟において,被告である借地人が建物買取請求権を行使しないまま口頭弁論が終結し,請求を認容する判決が確定した場合には,借地人は,その確定判決について提起した請求異議の訴えにおいて,その後にした建物買取請求権の行使の効果を請求異議の事由として主張することができない。
5.被相続人の貸金債務につき相続人が貸主から提起された貸金返還請求訴訟において,被告である相続人の限定承認の事実が認められ,相続財産の限度での債務の支払を命じる留保付判決が確定した場合には,貸主は,口頭弁論の終結の前に法定単純承認の事実があったとして,限定承認の効力を争い,無留保の判決を得るため,改めて貸金返還請求訴訟を提起することは,許されない。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4正解
- ⑨3と5
- ⑩4と5
解説
要点
既判力の遮断効は訴訟物(主文の判断)について、基準時前に生じた攻撃防御方法に及ぶのが原則だが、相殺権・建物買取請求権のような形成権は判例上遮断されない一方、取消権は遮断される。理由中の判断(所有権の存否など)には既判力が及ばない点も要注意。留保付判決では限定承認の存在・効力の判断に「既判力に準ずる効力」が認められる。
結論
誤っているのは選択肢3と選択肢4であり、選択肢8(3と4)が正解である。抹消登記請求訴訟の既判力は訴訟物である登記請求権の存否にのみ生じ、理由中で判断された所有権の帰属には及ばないため選択肢3は誤り。また判例上、建物買取請求権の行使は既判力によって遮断されず、基準時後の行使の効果を請求異議事由として主張できるため選択肢4も誤りである。
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出典:法務省「平成28年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
