平成28年 予備試験 短答式 行政法 第17問 解説
問題
次のアからエまでの各記述は,行政上の義務の実効性を確保するための条文の規定を示したものである。それぞれの【 】内の行為のうち,その性質がいわゆる執行罰に当たるものを一つ,後記1から4までの中から選びなさい。
ア.私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)第97条 排除措置命令(注:私的独占など私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定に違反する行為を行った事業者に対して公正取引委員会が当該違反行為を排除するために必要な措置を命じることを指す。)に違反したものは,50万円以下の【過料に処する】。ただし,その行為につき刑を科するべきときは,この限りでない。
イ.成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法(昭和53年法律第42号)第3条 国土交通大臣は,規制区域内に所在する建築物その他の工作物について,その工作物が次の各号に掲げる用に供され,又は供されるおそれがあると認めるときは,当該工作物の所有者,管理者又は占有者に対して,期限を付して,当該工作物をその用に供することを禁止することを命ずることができる。一 多数の暴力主義的破壊活動者の集合の用二 暴力主義的破壊活動等に使用され,又は使用されるおそれがあると認められる爆発物,火炎びん等の物の製造又は保管の場所の用三 成田国際空港又はその周辺における航空機の航行に対する暴力主義的破壊活動者による妨害の用2~5(略)6 国土交通大臣は,第1項の禁止命令に係る工作物が当該命令に違反して同項各号に掲げる用に供されていると認めるときは,当該工作物について【封鎖その他その用に供させないために必要な措置を講ずること】ができる。
ウ.砂防法(明治30年法律第29号)第36条 私人ニ於テ此ノ法律若ハ此ノ法律ニ基キテ発スル命令ニ依ル義務ヲ怠ルトキハ国土交通大臣若ハ都道府県知事ハ一定ノ期限ヲ示シ若シ期限内ニ履行セサルトキ若ハ之ヲ履行スルモ不充分ナルトキハ500円以内ニ於テ指定シタル【過料ニ処スルコト】ヲ予告シテ其ノ履行ヲ命スルコトヲ得
エ.行政代執行法(昭和23年法律第43号)第2条 法律(法律の委任に基く命令,規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ,又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合,他の手段によつてその履行を確保することが困難であり,且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは,当該行政庁は,【自ら義務者のなすべき行為をなし,又は第三者をしてこれをなさしめ,その費用を義務者から徴収すること】ができる。
- ①ア
- ②イ
- ③ウ正解
- ④エ
解説
要点
執行罰は「期限を示して過料を予告し、義務の履行を間接的に強制する」制度であり、現行法上は砂防法36条がほぼ唯一の現存例である。過料という言葉があっても、予告なく制裁として科すものは秩序罰にすぎず執行罰ではない。
結論
正解は選択肢3(ウ)である。砂防法36条は、義務者に一定の期限を示し、期限内に履行しないか履行が不十分な場合に過料に処することを「予告」して履行を命じるものであり、これがまさに執行罰の典型例である。
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出典:法務省「平成28年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
