平成28年 予備試験 短答式 刑法 第13問 解説
問題
次の【事例】に関する後記アからエまでの各【記述】を判例の立場に従って検討した場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。【事 例】甲は,内縁の妻Aと同居していたところ,遊興費に窮し,A所有のドレス20着及び指輪1個と,A管理のA名義のクレジットカード1枚(その規約上,会員である名義人のみが利用でき,他人への譲渡,貸与等が禁じられ,また,加盟店は,利用者が会員本人であることを善良な管理者の注意義務をもって確認することが定められている。)を,Aの部屋から盗み出した。甲は,丙にドレス及び指輪の売却を仲介してもらおうと考え,これらの盗品を丙方に運ぼうとした。しかし,甲は,ドレスの数が多く一人で運ぶのが困難であったため,乙に対し,ドレスと指輪が盗品であることを話した上で,丙宅への運搬を手伝ってほしいと頼んだ。乙がこれを了解したので,甲及び乙は,指輪とドレスのうち10着を甲が,残りのドレス10着を乙が,それぞれ運転する自動車に載せて丙宅へ運ぶこととし,これらの盗品を丙宅へ運んだ。丙は,ドレス及び指輪を,甲がAから盗んできたものであることを承知した上で甲から預かり,甲からの依頼どおりに売却先を探すこととしたが,指輪についてはAが母親の形見として大切にしていたものであることを知っていたことから,高値でAに売り付けようと考え,後日,Aに対し,代金50万円で指輪を売却し,その売却代金を甲に渡した。また,甲は,Aから盗んだクレジットカードを担保として丁から現金30万円を借りたが,その際,丁に対し,「これはA名義のクレジットカードだけど,Aから使用を許されており,お前がこのカードを利用して買物をしても,その利用代金はAにおいて決済される。」と伝えた。その後,甲が丁に対して金を返さなかったことから,丁は,甲の話を信じ,デパートにおいて,Aに成り済まして同カードを用いて腕時計1個を購入した。【記 述】
ア.甲がAの指輪を盗んだことにつき,甲の行為は窃盗罪に該当するが,Aは甲の内縁の妻であるから,刑法第244条第1項により刑が免除される。
イ.乙が盗品のドレス10着を,窃盗犯人である甲が指輪とドレス10着を,それぞれ丙宅まで運搬したことにつき,乙は甲と共同してこれら盗品を運搬したのであるから,乙にはドレス20着全てと指輪につき盗品等運搬罪が成立する。
ウ.丙がAを相手方として指輪の売却をあっせんしたことにつき,Aは窃盗の被害者であるが,丙には盗品等処分あっせん罪が成立する。
エ.丁がA名義のクレジットカードで腕時計を購入したことにつき,丁は,Aから同カードの使用を許されており,かつ,自らの使用に係る同カードの利用代金がAにおいて決済されるものと信じていたので,丁に詐欺罪は成立しない。
- ①ア イ
- ②ア ウ
- ③イ ウ正解
- ④イ エ
- ⑤ウ エ
解説
要点
内縁配偶者は244条1項の「配偶者」に含まれず刑の免除はない。本犯者である甲自身に盗品等運搬罪は成立しないが、甲と意思を通じて盗品全部の運搬を分担した乙には全体につき盗品等運搬罪が成立する。有償処分あっせん罪は被害者を相手方とする場合でも成立し、他人名義のクレジットカードの使用は名義人の承諾(の誤信)があっても詐欺罪の成立を妨げない。
結論
正しいのは記述イと記述ウであり、選択肢3が正解である。アは内縁配偶者に244条1項の適用がない点で誤り、エは名義人以外の者による使用について詐欺罪の成立を否定できない点で誤りである。
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出典:法務省「平成28年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
