平成28年 予備試験 短答式 刑法 第5問 解説
問題
学生A,B及びCは,次の【事例】における甲の罪責について,後記【会話】のとおり検討している。【会話】中の①から⑤までの( )内から適切な語句を選んだ場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。【事 例】甲は,乙が甲に向けて拳銃を発射してきたので,防衛のため,殺意をもって,携帯していた拳銃を乙に向けて発射した。その弾丸は,乙に当たり乙を死亡させるとともに,乙を貫通して,たまたま乙のそばを通り掛かった丙にも当たって丙を死亡させた。【会 話】学生A.私は,甲の行為は,乙に対する殺人既遂罪と丙に対する殺人既遂罪の構成要件に該当すると考えます。そして,乙に対する行為については,正当防衛が成立すると考えます。これを前提として丙に対する行為について検討しましょう。私は,①(a.正当防衛・b.緊急避難)が成立すると考えます。学生B.私は,Aさんの見解に反対です。この事例のように,防衛行為によって攻撃者以外の第三者の法益を侵害した場合,第三者との関係は,「正対不正」の関係とはいえないと考えるからです。私は,丙に対する行為については,②(c.正当防衛・d.緊急避難)が成立すると考えます。学生A.私は,②(c.正当防衛・d.緊急避難)が成立するためには,当該第三者の法益を侵害したことによって初めて現在の危難を避けることができたという関係が必要だと考えるので,Bさんの見解には反対です。Cさんは,どう考えますか。学生C.甲は,主観的には③(e.正当防衛・f.緊急避難)と認識して拳銃を発射し,丙に死亡の結果が発生しているので,丙に対する行為については,④(g.誤想防衛・h.誤想避難)であると考えます。そして,④(g.誤想防衛・h.誤想避難)についての判例の立場によれば,⑤(i.違法性・j.故意)が阻却されると考えます。
- ①①a ②d ③e ④g ⑤j正解
- ②①b ②c ③f ④h ⑤i
- ③①a ②d ③f ④h ⑤j
- ④①b ②c ③e ④h ⑤j
- ⑤①a ②d ③e ④g ⑤i
解説
要点
防衛行為の結果が攻撃者以外の第三者に生じた場合の処理については、①正当防衛説(学生A)、②緊急避難説(学生B)、③誤想防衛説(学生C)の対立がある。本問は各発言の論理から空欄を埋める問題であり、Bは「正対不正」の関係がないことを理由とするので緊急避難を主張し、Aはこれに対し緊急避難の補充性(当該法益侵害によって初めて危難を避けられた関係)を欠くと反論する。Cは、甲が主観的には正当防衛と認識していた点を捉えて誤想防衛とし、その効果は判例・通説的処理によれば(責任)故意の阻却である。
結論
選択肢1(①a・②d・③e・④g・⑤j)が正しい。Aは丙に対しても正当防衛が成立すると主張し(a)、Bは「正対不正」の関係がないことを理由に緊急避難を主張し(d)、Cは甲が主観的には正当防衛と認識していた点を捉えて誤想防衛(g)とし、その効果として故意が阻却される(j)とするのが、会話の論理に整合する。
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出典:法務省「平成28年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
