平成27年 予備試験 短答式 刑法 第9問 解説
問題
結果的加重犯の共同正犯の成立が認められることを前提に,次の【事例】及び各【見解】に関する後記1から5までの各【記述】を検討し,誤っているものを2個選びなさい。【事 例】甲と乙は,丙に対する傷害を共謀し,共同して木刀で丙の手足を殴打していた際,甲は丙に対する殺意を抱き,木刀で丙の頭部を殴打し,丙はその殴打により脳挫傷で死亡した。なお,乙は,甲が殺意を抱いたことを知らなかった。【見 解】A説:共同正犯とは,数人が犯罪に至る行為過程を含めた行為を共同することであり,特定の犯罪を共同して実現する場合はもちろんのこと,単なる行為を共同して各自の意図する犯罪を実現する場合も,それぞれの行為について共同正犯の成立を認める。B説:共同正犯とは,数人の者が共同して特定の犯罪を行うことであり,構成要件の間に重なり合いがあれば,そのうちのより重い犯罪について共同正犯の成立を認め,軽い犯罪の故意しかない者には,軽い犯罪の刑を科す。C説:共同正犯とは,数人の者が共同して特定の犯罪を行うことであり,構成要件の重なり合う限度で軽い犯罪の共同正犯の成立を認める。【記 述】
1.A説からは,甲と乙に殺人罪の共同正犯が成立するとの結論が導かれる。
2.B説からは,甲と乙に殺人罪の共同正犯が成立するとの結論が導かれる。
3.B説に対しては,犯罪の成立と科刑が分離するのは妥当でないと批判できる。
4.C説からは,甲と乙に傷害致死罪の共同正犯が成立し,甲には殺人罪の単独犯が成立するとの結論が導かれる。
5.C説に対しては,A説やB説から,共同正犯の成立範囲が広すぎると批判できる。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5正解
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4
- ⑨3と5
- ⑩4と5
解説
要点
行為共同説(A説)は罪名が異なる共同正犯を認めるため各人の故意に応じた罪名で成立し、完全犯罪共同説(やわらかい犯罪共同説。B説)は重い罪名で成立させつつ科刑を分離し、部分的犯罪共同説(C説)は重なり合う軽い罪の限度でしか共同正犯を認めない。この成立範囲の広狭を正確に押さえることが決め手になる。
結論
誤っている記述は1と5であり、選択肢4「1と5」が正解である。A説(行為共同説)では甲と乙で成立する罪名が異なるため記述1は誤りであり、C説は共同正犯の成立範囲が最も狭い立場であるため「広すぎる」という批判(記述5)は成り立たない。
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出典:法務省「平成27年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
