平成25年 予備試験 短答式 刑法 第13問 解説
問題
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
- ①甲は,生活費欲しさから強盗を計画し,12歳の長男乙に対し,Vから現金を強取するよう指示した。乙は,甲の指示に従い,Vに刃物を突き付けて現金を強取した。乙が是非善悪の判断能力を有していたか否か,甲の指示により意思を抑圧されていたか否かにかかわらず,甲には強盗罪の間接正犯が成立する。
- ②甲は,通常の判断能力がないVの殺害を計画し,Vに対し,首をつっても仮死状態になるだけであり,必ず生き返るとだまして,Vに首をつらせて窒息死させた。甲には自殺関与罪が成立する。
- ③甲と乙は,自分たちのことを日頃ばかにするVを懲らしめてやろうと思い,Vに傷害を負わせる旨共謀した。そして,甲と乙は,それぞれ,Vに対し,日頃の恨みを言いながら,その身体を殴り付けた。Vは,これに応答して甲らを罵った。すると,乙は,Vの発言に腹を立て,殺意をもって,隠し持っていたナイフでVを刺し殺した。乙に殺人罪が成立する場合,甲には,Vに対する殺意がなくても殺人罪の共同正犯が成立する。
- ④甲は,V宅に石を投げ付け窓ガラスを割り始めた。これをたまたま見た乙は,自分も窓ガラスを割りたいと思い,甲に気が付かれないよう,V宅に石を投げ付け,甲が割った窓ガラスとは別の窓ガラスを割った。甲と乙には器物損壊罪の共同正犯は成立しない。正解
- ⑤女性である甲は,甲の男友達である乙との間で,乙がVを強姦する旨共謀した。その後,甲がVを誘い出してVの体を押さえ付け,乙がVを強姦した。乙に強姦罪が成立する場合でも,甲には強姦罪の共同正犯は成立しない。
解説
要点
共同正犯は「共謀(意思の連絡)に基づく相互利用補充関係」があってはじめて成立し、単に同時・同種の犯行が並存しただけ(片面的関与)では成立しない。逆に、女性や自ら実行行為(性交)をしない者でも、共謀+役割分担(押さえつけ等)があれば共同正犯となり得る。
結論
正しいのは選択肢4である。甲と乙の間には器物損壊についての意思の連絡(共謀)が全くなく、乙が一方的に甲の行為に乗じただけの同時犯であるから、共同正犯は成立しない(判例・通説は片面的共同正犯を否定する)。他の選択肢はいずれも判例の立場と異なる結論を述べており誤りである。
この分野を、あなたの弱点に合わせて演習
無料で始める間違えた問題は忘れかけた頃に出し直し。論文の AI 採点も(Pro)。
出典:法務省「平成25年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
