平成24年 予備試験 短答式 刑法 第1問 解説
問題
次の1から5までの各事例における甲の罪責について判例の立場に従って検討した場合,甲に窃盗罪が成立しないものはどれか。
- ①甲は,コンビニエンスストアでレジ係のアルバイトをしていたが,店長の乙が短時間外出していた間に,商品棚からたばこ1カートンを取り出して自分のバッグに入れ,アルバイト終了後店外へ持ち出し,これを自分のものにした。
- ②甲は,旅館に宿泊した際,旅館内にある共同浴場の脱衣場で,他の宿泊客が置き忘れた時計を見付けたので,脱衣場から持ち出し,これを自分のものにした。
- ③甲は,深夜,路上を歩いていたところ,見知らぬ乙と丙が殴り合いのけんかをしていたので,これを見ていると,乙がナイフを取り出して丙を刺し殺した。甲は,乙が走り去った直後,死亡した丙の上着のポケット内に入っていた現金入りの財布を持ち去り,これを自分のものにした。正解
- ④甲は,乙から封かんされた現金10万円入りの封筒を渡されて丙に届けるように依頼され,丙方に向かって歩き始めたが,途中で封筒内の現金が欲しくなり,封を開いて封筒に入っていた現金のうち2万円を取り出してこれを自分のものにした後,残りの現金が入った封筒を丙に交付した。
- ⑤甲は,乙が他の者から盗んできた宝石を乙所有の自動車の中に置いているのを知っていたところ,ある日,同車が無施錠で駐車されているのに気付き,同車内から同宝石を持ち去り,これを自分のものにした。
解説
要点
死者からの財物奪取は、殺害者自身が死亡直後に奪う場合は生前の占有が犯人との関係でなお保護されるとして窃盗罪が成立するが、殺害に関与しない第三者が事後に奪う場合は死者の占有が否定され占有離脱物横領罪にとどまる。
結論
選択肢3が窃盗罪不成立(占有離脱物横領罪にとどまる)である。甲は乙丙の殺人に無関係の第三者であり、丙が死亡した後にその財布を持ち去っているため、丙の生前の占有を引き続き侵害したとは評価できず、窃盗罪の要件である「他人の占有する財物」の占有侵害が認められない。
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出典:法務省「平成24年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
