平成23年 予備試験 短答式 刑事訴訟法 第26問 解説
問題
次の【記述】は,控訴審の権限に関して判断を示した最高裁判所決定の要旨である。①から⑦までの( )内に後記aからiまでの【語句群】から適切な語句を入れた場合,組合せとして正しいものは後記1から5までのうちどれか。なお,①から⑦までの( )内にはそれぞれ異なる語句が入る。【記 述】第一審判決がその理由中において無罪の判断を示した点は,牽連犯ないし包括一罪として起訴された事実の一部なのであるから,右第一審判決に対する控訴提起の効力は,それが被告人からだけの控訴であつても,公訴事実の全部に及び,右の無罪部分を含めたそのすべてが控訴審に移審係属すると解すべきである。そうとすれば,控訴裁判所は右起訴事実の全部の範囲にわたつて(①)を加えることが可能であるとみられないでもない。しかしながら,控訴審が第一審判決について(①)をするにあたり,いかなる限度においてその職権を行使すべきかについては,さらに慎重な検討を要するところである。いうまでもなく,現行刑訴法においては,いわゆる(②)主義が基本原則とされ,(③)主義はその補充的,後見的なものとされているのである。(②)主義の現われとして,現行法は(④)制度をとり,検察官が公訴を提起するには,(⑤)を記載した起訴状を裁判所に提出しなければならず,(⑤)は(④)を明示してこれを記載しなければならないこととし,この(④)につき,当事者の攻撃防御をなさしめるものとしている。(中略)このように,審判の対象設定を原則として(②)の手に委ね,被告人に対する不意打を防止し,(②)の公正な訴訟活動を期待した第一審の訴訟構造の上に立つて,刑事訴訟法はさらに控訴審の性格を原則として(⑥)審たるべきものとしている。すなわち,控訴審は,第一審と同じ立場で事件そのものを審理するのではなく,前記のような(②)の訴訟活動を基礎として形成された第一審判決を対象とし,これに(⑥)的な審査を加えるべきものなのである。そして,その(⑥)審査も当事者の申し立てた控訴趣意を中心としてこれをなすのが建前であつて,(①)はあくまで補充的なものとして理解されなければならない。けだし,前記の第一審における(②)主義と(③)主義との関係は,控訴審においても同様に考えられるべきだからである。これを本件についてみるに,本件公訴事実中第一審判決において有罪とされた部分と無罪とされた部分とは牽連犯ないし包括一罪を構成するものであるにしても,その各部分は,それぞれ1個の犯罪構成要件を充足し得るものであり,(④)としても独立し得たものなのである。そして,右のうち無罪とされた部分については,被告人から不服を申し立てる利益がなく,検察官からの控訴申立てもないのであるから,当事者間においては攻防の対象からはずされたものとみることができる。このような部分について,それが理論上は控訴審に移審係属しているからといつて,(⑥)審たる控訴審が(①)を加え有罪の自判をすることは,被告人控訴だけの場合,刑事訴訟法第402条により第一審判決の刑より重い刑を言い渡されないことが被告人に保障されているとはいつても,被告人に対し不意打を与えることであるから,前記のような現行刑事訴訟の基本構造,ことに現行控訴審の性格にかんがみるときは,(⑦)として許される限度をこえたものであつて,違法なものといわなければならない。【語句群】a.職権調査 b.当事者の申立てに基づく調査 c.当事者 d.職権e.訴因 f.公訴事実 g.事実 h.事後 i.職権の発動
- ①①b④e
- ②①a⑦i正解
- ③②d⑤f
- ④②c⑥g
- ⑤③c⑥h
解説
要点
控訴審は事後審であり、当事者主義を基本原則としつつ職権主義(職権調査)は補充的・後見的なものにとどまる。牽連犯・包括一罪の一部無罪部分について被告人控訴のみの場合、検察官控訴がない以上その部分は攻防の対象から外れており、職権調査を加えて有罪の自判をすることは不意打ちとして許されないという判例の論理構造を押さえる。
結論
選択肢2(①a職権調査、⑦i職権の発動)が正しい。この決定は現行刑訴法の基本構造(当事者主義が原則、職権主義は補充的)と控訴審の事後審的性格を前提に、被告人控訴のみの場合に検察官が争わなかった無罪部分に職権調査を及ぼして有罪の自判をすることは職権の発動として許される限度を超えると判示したものであり、文脈上①はa、⑦はiで確定する。
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出典:法務省「平成23年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
