令和8年 司法試験 短答式 憲法 第9問 解説
問題
憲法第31条ないし第38条に関する次のアからウまでの各記述について、最高裁判所の判例の趣旨に照らして、正しいものには○、誤っているものには×を付した場合の組合せを、後記1から8までの中から選びなさい。
ア.行政手続については、それが刑事手続ではないとの理由のみで、当然に憲法第31条による保障の枠外にあるとすることは相当ではなく、行政処分により制限を受ける権利利益の内容、性質、制限の程度、行政処分により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等のいかんにかかわらず、行政処分の相手方に対して事前に告知、弁解、防御の機会を与える旨の規定がなければ同条の法意に反する。
イ.憲法第35条の下では、住居、書類及び所持品について、令状なく、侵入、捜索及び押収ができるのは、現行犯逮捕の場合及び緊急逮捕の場合に限られ、現に逮捕されていることを要するから、緊急逮捕に先立ち捜索及び押収を開始することが憲法上許容されることはない。
ウ.憲法第38条の不利益供述強要の禁止の保障は、刑事手続以外の手続にも及ぶところ、正規の手続を経ていない麻薬の取扱いに関する事実を帳簿に記入させることは、その違反行為の発覚の端緒となるものであるから、取締法規をもって、かかる事実を帳簿に記入すべき義務を課し、当該義務違反が罪を構成するとするのは同条に違反する。
- ①ア○ イ○ ウ○
- ②ア○ イ○ ウ×
- ③ア○ イ× ウ○
- ④ア○ イ× ウ×
- ⑤ア× イ○ ウ○
- ⑥ア× イ○ ウ×
- ⑦ア× イ× ウ○
- ⑧ア× イ× ウ×正解
解説
要点
成田新法事件は「行政手続にも31条の趣旨は及びうるが、事前の告知・弁解の機会は常に必要とは限らず、権利利益の性質・公益の緊急性等を総合較量して決める」という比較衡量枠組みを示した点、緊急逮捕に伴う捜索・押収は逮捕との時間的接着があれば逮捕に先立っても許容される点(最大判昭和36年6月7日)、麻薬取締法の記帳義務は38条1項に違反しないとされた点(最大判昭和29年7月16日)を押さえる。
結論
ア・イ・ウのいずれも判例の趣旨と異なる誤った記述であり、すべて×となる選択肢8が正しい。ア・イ・ウはいずれも判例が示した比較衡量や許容範囲を「絶対的な要件」であるかのように言い換えている点で誤っている。
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出典:法務省「令和8年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
