令和8年 司法試験 短答式 刑法 第18問イ 解説
問題
現住建造物等放火罪における建造物の一体性の判断基準について、各【見解】と各【事例】を前提として、アからオまでの各【記述】を検討し、正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。【見 解】A説:建造物の一体性を認めるためには、非現住部分と現住部分に、構造上の接続性及び延焼可能性の双方を必要とする物理的一体性、又は、使用上の一体性である機能的一体性のいずれかが存在すれば足りる。B説:建造物の一体性を認めるためには、非現住部分と現住部分に、構造上の接続性及び延焼可能性の双方を必要とする物理的一体性の存在が必要不可欠であり、使用上の一体性である機能的一体性は、物理的一体性が弱い場合に、それを補う限度で考慮される。【事 例】Ⅰ.甲は、X裁判所の敷地内において、現住部分である宿直室とは構造上接続していない非現住部分である裁判所庁舎本館に夜間放火し、本館のみを焼損した。夜間、本館は無人であった。Ⅱ.甲は、非現住部分である本殿と現住部分である社務所が、木製の回廊で構造上接続しているY神社の本殿に夜間放火し、本殿部分のみを焼損した。夜間、本殿は無人であった。Ⅲ.甲は、非現住部分である研修棟と現住部分である宿泊棟が、防火扉付きの渡り廊下で構造上接続しているZ施設の研修棟に夜間放火し、研修棟部分のみを焼損した。夜間、研修棟は無人であった。【記 述】
イ.【事例】Ⅰで、裁判所庁舎本館と宿直室の機能的一体性が認められたが、本館から宿直室への延焼可能性が否定された場合、A説からは、甲に現住建造物等放火罪が成立し得るが、B説からは、甲に現住建造物等放火罪は成立し得ない。
- ①正しい正解
- ②誤っている
解説
要点
B説は物理的一体性(構造上の接続性+延焼可能性)が必要不可欠であり、機能的一体性はそれを補う限度でしか働かない。したがって構造上の接続すらない事例では、機能的一体性がいくら強くてもB説では一体性が認められない。
結論
事例Ⅰでは宿直室と本館は構造上接続しておらず、延焼可能性も否定されているため物理的一体性は認められない。A説は物理的一体性と機能的一体性のいずれかで足りるので、機能的一体性が認められれば現住建造物等放火罪が成立し得る。B説は物理的一体性が必要不可欠で機能的一体性はこれを補うにとどまるため、物理的一体性がそもそも欠ける本事例では機能的一体性だけでは一体性を肯定できず、成立しない。よって記述イは正しく、選択肢1が正解である。
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出典:法務省「令和8年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
