令和8年 司法試験 短答式 刑法 第17問 解説
問題
逃走の罪に関するアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものの組合せは1から5までのうちどれか。
ア.加重逃走罪(刑法第98条)における「二人以上通謀して」とは、同罪の主体二人以上が通謀することであるから、法令により拘禁された者が面会者と通謀して逃走した場合を含まない。
イ.加重逃走罪(刑法第98条)における「拘束のための器具を損壊し」については、その手段や方法を問わないため、手錠を物理的に損壊せず合鍵で錠を外すことも含まれる。
ウ.逃走罪(刑法第97条)における「逃走した」とは、刑事施設の敷地外に脱出した場合をいい、仮に看守者から姿を見失われずに追跡を受け続け、その実力的支配から脱したとは認められなくても、刑事施設の敷地外に脱出すれば同罪は既遂となる。
エ.加重逃走罪(刑法第98条)のうち拘禁場の損壊によるものについては、逃走の手段として拘禁場内の換気孔周辺の壁を削り取って損壊したときには、逃走行為自体に着手した事実がなくとも、同罪の実行の着手が認められる。
オ.逃走援助罪(刑法第100条第1項)は、「器具を提供し、その他逃走を容易にすべき行為」をした場合に成立し、法令により拘禁された者を逃走させる目的までは必要とされていない。
- ①ア ウ
- ②ア エ正解
- ③イ ウ
- ④イ オ
- ⑤エ オ
解説
要点
加重逃走罪の『二人以上通謀』は被拘禁者同士の通謀に限られ外部者との通謀は含まない一方、拘禁場損壊型は損壊行為への着手で実行の着手が認められる。逃走罪の既遂は看守の実力的支配からの離脱を要し、逃走援助罪は目的犯である点を混同しないこと。
結論
正しいのはアとエであり、選択肢2が正解である。アは加重逃走罪の『二人以上通謀して』が被拘禁者相互の通謀を意味し外部の面会者との通謀を含まないという理解に合致し、エは拘禁場損壊による加重逃走罪について損壊行為自体への着手で実行の着手が認められるという判例(最判昭和54年12月25日)の立場に合致する。
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出典:法務省「令和8年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
