令和8年 司法試験 短答式 刑法 第6問 解説
問題
アからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものの組合せは1から5までのうちどれか。
ア.信用毀損罪は、経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものであり、同罪における「信用」には、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼は含まれるが、扱う商品の品質に対する社会的な信頼は含まれないので、コンビニエンスストアで粗悪な商品を販売しているという虚偽の風説を流布した行為は、信用毀損行為に該当しない。
イ.威力業務妨害罪における「威力」とは、人の意思を制圧するに足りる勢力を示すことであり、被害者が執務のために日頃使っている机の引き出し内に、猫の死骸をひそかに入れておき、被害者にこれを発見させ、畏怖させるに足りる状態におく行為は、威力に該当する。
ウ.偽計業務妨害罪における「偽計」とは、人を欺罔し、あるいは人の錯誤又は不知を利用することをいい、電話料金の支払を免れるための機器を電話回線に取り付けて課金装置の作動を不能にする行為は、偽計に該当しない。
エ.信用毀損罪における「虚偽の風説を流布」とは、客観的真実に反する事項を不特定又は多数の人に伝播させることをいうが、実際に破産した者について、その者が破産者である旨記載されたビラを多数人に配布した行為であっても、虚偽の風説の流布に該当する。
オ.業務妨害罪における「妨害」とは、現に業務妨害の結果が発生したことを必要とせず、業務を妨害するおそれがある行為が行われれば足りるので、美容師を解雇させて美容室経営者の業務を妨害するため、同経営者宛てに同美容師の技量に関する虚偽内容の信書を郵送した行為は、その結果として同美容師の解雇には至らなくとも、妨害行為に該当し得る。
- ①ア ウ
- ②ア エ
- ③イ ウ
- ④イ オ正解
- ⑤エ オ
解説
要点
信用毀損罪の『信用』は支払能力・支払意思だけでなく商品の品質への信頼も含み(平成15年判例)、『虚偽の風説』は真実を摘示した場合には成立しない。業務妨害罪は抽象的危険犯であり、現実の妨害結果は不要という判例の立場を押さえる。
結論
正しいのはイとオであり、選択肢4が正解である。イは威力業務妨害罪の『威力』の意義に関する判例(机の引き出しに猫の死骸を入れる行為)に合致し、オは業務妨害罪が抽象的危険犯であるとする判例の立場に合致する。
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出典:法務省「令和8年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
