令和8年 司法試験 短答式 刑法 第5問 解説
問題
学生A及びBは、【事例】について、【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑦までの( )内に【語句群】から適切なものを入れた場合、正しいものの組合せは1から5までのうちどれか。なお、①から⑦までの( )内には、それぞれ異なるものが入る。【事 例】甲は、自動車を運転していた際、前方不注視のため、進路前方の横断歩道を歩いていたXに気付くのが遅れ、ブレーキを踏もうとしたが、誤ってアクセルを踏んでしまい、自車をXに衝突させ、Xに重傷を負わせた。【会 話】学生A.私は、過失犯の実行行為について、(①)と考えます。学生B.そのように考えるのはなぜですか。学生A.私のように考えないと、(②)まで実行行為とされるおそれがあり、(③)からです。学生B.私は、Aさんとは異なり、(④)と考えます。Aさんの見解では、この【事例】の場合、(⑤)だけが実行行為となりますが、私の見解では(⑤)と(⑥)の双方が実行行為となります。学生A.(⑤)が実行行為になるという点では同じなのですから、私の見解もBさんの見解も実質的な結論に違いはないのではないですか。学生B.例えば、(⑦)には、Aさんの見解よりも私の見解の方が過失をより適切に認定することができると思います。【語句群】a.結果発生に直近する不注意な行為だけが過失犯の実行行為となるb.発生した結果と因果関係のある不注意な行為は全て過失犯の実行行為になり得るc.結果発生と関連が薄い間接的な落ち度d.発生した結果との因果関係が認められない行為e.公判審理の争点が不明確になる f.過失の共同正犯を認めることができなくなるg.前方不注視 h.ブレーキとアクセルの操作の誤りi.ブレーキとアクセルの操作の誤りが主たる原因である場合j.前方不注視が主たる原因である場合
- ①①a ③f ⑥g
- ②①b ④a ⑥h
- ③②c ④b ⑦i
- ④②d ⑤g ⑦j
- ⑤③e ⑤h ⑦j正解
解説
要点
過失犯の実行行為(注意義務違反行為)を「結果に直近する行為」に限定する立場(直近過失説。直近過失一個説ともいう)と、「結果と因果関係のある不注意な行為はすべて実行行為になり得る」とする立場(過失併存説)の対立を、具体的事案(前方不注視→ブレーキ・アクセルの踏み間違い)にあてはめ、どの行為が実行行為とされるかを追えるようにしておく。
結論
選択肢5が正しい。③には「公判審理の争点が不明確になる」(e)、⑤には事例でAの見解(直近過失説)により実行行為とされる「ブレーキとアクセルの操作の誤り」(h)、⑦には「前方不注視が主たる原因である場合」(j)が入り、これらはいずれも学説対立の論理構造と事例へのあてはめに整合する。
この分野を、あなたの弱点に合わせて演習
無料で始める間違えた問題は忘れかけた頃に出し直し。論文の AI 採点も(Pro)。
出典:法務省「令和8年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
