令和7年 司法試験 短答式 刑法 第11問 解説
問題
放火及び失火の罪に関するアからオまでの各記述を検討した場合、正しいものの組合せは1から5までのうちどれか。
ア.甲は、自己所有の家屋に一人で居住していたが、同家屋に掛けた火災保険の保険金をだまし取ろうと考え、同家屋に放火して全焼させ、公共の危険を生じさせた。この場合、甲に他人所有非現住建造物等放火罪が成立する。
イ.甲は、自己所有の無人倉庫に放火しようと考え、同倉庫に置かれた新聞紙に火をつけたが、同新聞紙が燃えたにとどまり、同倉庫は焼損しなかった。この場合、甲に自己所有非現住建造物等放火罪の未遂罪が成立する。
ウ.甲は、A所有の自動車に放火しようと考え、同放火に使用するガソリンとライターを持って同車に近づいたが、甲に不審を抱いた警察官から職務質問を受けたため、同車に放火するに至らなかった。この場合、甲に放火予備罪が成立する。
エ.甲は、自己所有の無人倉庫を失火により焼損し、それによって公共の危険を生じさせた。この場合、甲に失火罪が成立する。
オ.甲は、Aが居住するA所有の家屋に放火しようと考え、同家屋近くの消火栓から放水できないように同消火栓を損壊したが、放火するに至らなかった。この場合、甲に消火妨害罪が成立する。
- ①ア イ
- ②ア エ正解
- ③イ ウ
- ④ウ オ
- ⑤エ オ(参照条文)刑法第112条 第108条及び第109条第1項の罪の未遂は、罰する。第113条 第108条又は第109条第1項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。第114条 火災の際に、消火用の物を隠匿し、若しくは損壊し、又はその他の方法により、消火を妨害した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。第115条 第109条第1項及び第110条第1項に規定する物が自己の所有に係るものであっても、差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、配偶者居住権が設定され、又は保険に付したものである場合において、これを焼損したときは、他人の物を焼損した者の例による。第116条 失火により、第108条に規定する物又は他人の所有に係る第109条に規定する物を焼損した者は、50万円以下の罰金に処する。2 失火により、第109条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第110条に規定する物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。
解説
要点
108条の「現に人が住居に使用し」とは犯人以外の者の起臥寝食の場所であることを要し、犯人単独居住の家屋は非現住建造物となる。もっとも自己所有非現住建造物でも保険に付されている場合は115条により他人所有物の例によるため、108条ではなく109条1項の他人所有建造物等放火罪の規律を受ける点に注意。
結論
正しいのはアとエであり、選択肢2が正解である。アは、犯人単独居住の家屋は108条の現住建造物に当たらないが保険に付されているため115条により他人所有非現住建造物等放火罪(109条1項の例)が成立し、エは自己所有非現住建造物の失火により公共の危険を生じさせているため116条2項の失火罪が成立する。
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出典:法務省「令和7年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
