令和4年 司法試験 短答式 民法 第22問 解説
問題
相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
ア.不法行為によって傷害を受けた被害者Aは、加害者Bに対する損害賠償債権を自働債権とし、BがAに対して有する貸金債権を受働債権とする相殺をすることができない。
イ.弁済期が到来していない債権の債務者は、その債権を受働債権とする相殺をすることができない。
ウ.返還時期の定めのない金銭消費貸借契約の貸主は、返還の催告をしてから相当期間が経過した後でなければ、その貸金債権を自働債権とする相殺をすることができない。
エ.AがBに対して甲債権を有し、CがAに対して消滅時効が完成したがその援用がされていない乙債権を有している。この場合において、BがCから乙債権を譲り受け、その後Aが消滅時効を援用したときは、Bは、乙債権を自動債権とする相殺をすることができない。
オ.差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え前から有していた差押債務者に対する債権を自働債権とする相殺をもって差押債権者に対抗することができる。
- ①ア エ
- ②ア ウ
- ③イ ウ
- ④イ オ
- ⑤エ オ正解
解説
要点
509条は不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺の禁止であって被害者側からの相殺は可能、受働債権の弁済期未到来は期限の利益の放棄(136条2項)で相殺可、返還時期の定めのない消費貸借の貸金債権も「催告から相当期間経過後でなければ相殺不可」とはいえない、508条は時効消滅以前に相殺適状にあったことを要件とするから時効期間経過後に債権を譲り受けて初めて相殺適状が生じた者には及ばない、511条1項は差押え前取得債権による相殺を保護する、という5点をセットで覚える。
結論
正しいのはエとオであり、選択肢5が正解である。508条は、時効によって消滅した債権が「その消滅以前に相殺に適するようになっていた」ことを要件とするから、時効期間が経過した後に債権を譲り受け、その譲受けによって初めて相殺適状が生じた者には適用されない(最判平成25年2月28日)。また511条1項により、差押え前に取得した自働債権による相殺は差押債権者に対抗できる(オ)。
この分野を、あなたの弱点に合わせて演習
無料で始める間違えた問題は忘れかけた頃に出し直し。論文の AI 採点も(Pro)。
出典:法務省「令和4年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
