令和4年 司法試験 短答式 刑法 第17問 解説
問題
罪数に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合、誤っているものを2個選びなさい。
1.甲は、Aから財物を詐取した上で当該財物の返還を免れるためにAを殺害することを計画し、計画どおりにAから財物を詐取し、その後、殺意をもってAの胸部をナイフで刺して殺害し、これにより、財物の返還を免れるという財産上不法の利益を得た。甲には、詐欺罪と強盗殺人罪が成立し、これらは包括一罪となる。
2.暴力団幹部甲は、配下の組員数名とともに、Aの身体に共同して危害を加える目的で、日本刀数本を準備してA方前に集合し、その直後、外に出てきたAの顔面を手拳で数回殴打する暴行を加えた。甲には、凶器準備集合罪と暴行罪が成立し、これらは併合罪となる。
3.甲は、業務として猟銃を用いた狩猟に従事していた際、Aを熊と誤認して発砲し、Aに傷害を負わせ、その直後にAを誤射したことに気付いたが、Aを殺害して逃走しようと決意し、殺意をもってAの胸部に向けて発砲し、Aを即死させた。甲には、業務上過失傷害罪と殺人罪が成立し、これらは包括一罪となる。
4.甲は、A銀行が発行したB名義のキャッシュカード1枚をBから窃取した上、これを利用してA銀行の現金自動預払機から預金を不正に払い戻した。甲には、2個の窃盗罪が成立し、これらは併合罪となる。
5.甲は、対立する不良グループのメンバーA及びBを襲撃することを計画し、路上で発見したAをバットで1回殴打した直後、そばにいたBを同バットで1回殴打し、両名に傷害を負わせた。甲には、2個の傷害罪が成立し、これらは包括一罪となる。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4
- ⑨3と5正解
- ⑩4と5
解説
要点
罪数の判断は、同一の意思決定・機会かどうかだけでなく、保護法益の同一性と犯罪類型の性質の違いを個別に検討する必要がある。熊撃ち事件(過失犯から故意犯への転化)と、異なる被害者に対する連続犯行は、いずれも判例・実務上「併合罪」となる代表的な場面である。
結論
誤っている記述は3と5である。熊撃ち事件の判例(最決昭和53年3月22日)は業務上過失傷害罪と殺人罪を併合罪としており、肢3の「包括一罪」は誤り。また、同一の機会に異なる被害者を順次殴打した場合、被害者ごとに法益が異なるため各別の傷害罪が成立し併合罪となるのが判例・実務の立場であり、肢5の「包括一罪」も誤りである。
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出典:法務省「令和4年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
