令和4年 司法試験 短答式 刑法 第9問 解説
問題
毀棄及び隠匿の罪の「毀棄」、「損壊」及び「傷害」の意義に関する次の各【見解】に従って後記1から5までの各【記述】を検討した場合、正しいものを2個選びなさい。【見 解】A.対象物の効用を害する一切の行為をいう。B.対象物の全部又は一部を物質的に破壊、毀損してその効用を害する行為をいう。【記 述】
1.いずれの見解によっても、器物損壊罪の客体は、公用文書等毀棄罪、私用文書等毀棄罪、建造物等損壊罪の客体以外の動産に限られ、不動産は含まれないと解することになる。
2.Aの見解によれば、他人が観賞用に鳥籠内で飼っている小鳥を鳥籠から屋外に逃がした場合、器物損壊罪が成立することになる。
3.Aの見解によれば、公衆トイレの外壁に美観を著しく損ねる落書きをし、そのままでの使用継続を困難にさせ、原状回復に相当の費用を生じさせた場合、建造物損壊罪が成立することになる。
4.Bの見解によれば、裁判所から隠匿目的で競売記録を持ち出し自宅で保管した場合、公用文書毀棄罪が成立することになる。
5.Bの見解によれば、信書隠匿罪は、器物損壊罪の構成要件にも当たる行為を特に軽く処罰する罪と解することになる。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5
- ⑤2と3正解
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4
- ⑨3と5
- ⑩4と5
解説
要点
効用侵害説(A)は物理的損傷がなくても効用を害する行為(隠匿・放逐・美観侵害等)を毀棄・損壊に含めるのに対し、有形毀損説(B)は物質的な破壊・毀損がなければ毀棄・損壊に当たらないとする。この違いから、隠匿行為や落書き・逃避行為が各見解でどう扱われるかを条文の文言・趣旨に当てはめて機械的に判定する。
結論
正しいのは記述2と記述3であり、選択肢5(2と3)が正解である。Aの効用侵害説は物理的な破壊を伴わなくても対象物の効用(本来の用途に従った利用可能性)を害すれば足りるとする見解であり、小鳥を逃がす行為(記述2)や公衆トイレへの落書き(記述3)はいずれもこの見解の典型的な適用例として成立を肯定できる。
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出典:法務省「令和4年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
