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令和3年 司法試験 短答式 刑法 第13問 解説

問題

次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】のうち,甲に殺人未遂罪の成立を認めるための論拠として適切なものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。【事 例】甲は,知人の乙に,毒物を混入したワイン(以下「本件ワイン」という。)を送り付ければ,乙がそれを自ら飲んで死亡すると考えた。甲は,某日,本件ワインを宅配業者の事務所に持ち込み,3日後の配達指定をして,乙宅への配達を申し込んだ。しかし,本件ワインは,申込み当日,同事務所での保管中に瓶が破損して廃棄処分となったため,乙宅に配達されることはなかった。【記 述】 ア.間接正犯の実行の着手については,被利用者の行為を基準として実行の着手を判断すべきところ,本件では,それと同様の考え方が妥当する。 イ.結果発生の一定の蓋然性が生じれば,未遂犯の成立を認めることができるところ,我が国の一般的な宅配業務の実情を前提とした場合,本件ワインの配達を申し込んだ時点で乙宅に到着することはほぼ確実といえる。 ウ.実行の着手は,行為者が,その犯行計画上,構成要件実現のためになすべきことを行った時点で認めることができる。 エ.甲が,宅配業者に依頼せず,自ら乙宅に本件ワインを届けようとした場合には,乙宅に本件ワインを届けるまでは殺人未遂罪が成立しないこととの均衡を考慮する必要がある。 オ.既遂結果発生の時間的に切迫した危険を内容とする未遂結果は,刑法第43条の書かれざる構成要件要素である。
  1. ①ア エ
  2. ②ア オ
  3. ③イ ウ正解
  4. ④イ エ
  5. ⑤ウ オ

解説

要点
宅配便等を利用した犯罪の実行の着手時期は、行為者が犯行計画上なすべきことをすべて終えたか、結果発生の客観的な蓋然性が生じたかを基準に判断する。間接正犯における被利用者標準説や、未遂結果に『時間的切迫性』を要求する理論、自ら届ける場合との均衡論は、むしろ着手時期を遅らせ未遂を否定する方向に働くことに注意する。

結論

正解は選択肢3(イ・ウ)である。実行の着手を認めるには、行為者が犯行計画上なすべきことを終えたか(記述ウ)、結果発生の客観的な蓋然性が生じたか(記述イ)を基準にすべきであり、この2つが甲に殺人未遂罪を認める論拠として機能する。一方、ア・エ・オはいずれも着手時期を遅らせ、本件では未遂の成立を否定する方向に働く考え方である。

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出典:法務省「令和3年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。