令和2年 司法試験 短答式 民法 第14問 解説
問題
譲渡担保に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.所有する土地に譲渡担保権を設定した債務者は,債務の弁済期が経過した後は,債権者が担保権の実行を完了する前であっても,債務の全額を弁済して目的物を受け戻すことはできない。
イ.所有する機械に譲渡担保権を設定して譲渡担保権者に現実の引渡しをした債務者Aは,その債務の弁済をする場合,債務の弁済と譲渡担保権者のAに対する目的物の引渡しとの同時履行を主張することはできない。
ウ.債務者Aが所有する構成部分の変動する在庫商品に債権者Bのために譲渡担保権が設定された後,商品が滅失し,その損害をてん補するための損害保険金請求権をAが取得したときは,Aが営業を継続しているか否かにかかわらず,Bは,当該保険金請求権に対して物上代位権を行使することができる。
エ.土地の賃借人が借地上に所有する建物に譲渡担保権を設定した場合,その効力が土地の賃借権に及ぶことはない。
オ.譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲は,強行法規や公序良俗に反しない限り,設定契約の当事者間において元本,利息及び遅延損害金について自由に定めることができる。
- ①ア ウ
- ②ア エ
- ③イ エ
- ④イ オ正解
- ⑤ウ オ
解説
要点
譲渡担保は判例法理の集積で成り立つ分野。受戻権の存続時期(処分完了前なら受戻し可)、弁済と目的物引渡しの同時履行の否定(他方で清算金支払と引渡しは同時履行)、集合動産譲渡担保の物上代位における営業継続の考慮、被担保債権範囲の自由性、建物譲渡担保が敷地賃借権に及ぶ点をセットで押さえる。
結論
正しいのはイとオであり、選択肢4が正解である。譲渡担保では債務の弁済が先履行であって弁済と目的物の引渡しは同時履行の関係に立たず(イ)、被担保債権の範囲は抵当権と異なり自由に約定できる(オ)という判例・実務の理解が問われている。
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出典:法務省「令和2年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
