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令和元年 司法試験 短答式 民法 第29問 解説

問題

過失相殺及び損益相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。 ア.被害者の過失を考慮するためには,被害者に自己の行為の責任を弁識するに足りる知能が備わっていることを要する。 イ.内縁の夫が運転する自動車に同乗していた者が,内縁の夫と第三者の双方の過失による交通事故で負傷し,第三者に対し損害賠償を請求する場合において,裁判所は,損害賠償の額を定めるに当たり,内縁の夫の過失を被害者側の過失として考慮することはできない。 ウ.複数の加害者の過失及び被害者の過失が競合する一つの交通事故において,その交通事故の原因となった全ての過失の割合(いわゆる絶対的過失割合)を認定することができるときには,絶対的過失割合に基づく被害者の過失による過失相殺をした損害賠償額について,加害者らは連帯して共同不法行為に基づく賠償責任を負う。 エ.被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とが共に原因となって損害が発生した場合において,当該疾患の態様,程度などに照らし,加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは,裁判所は,損害賠償の額を定めるに当たり,過失相殺の規定を類推適用して,被害者の疾患を考慮することができる。 オ.不法行為により死亡した被害者の相続人が加害者に対し不法行為に基づく損害賠償を請求した場合,裁判所は,生命保険契約に基づいて給付される死亡保険金の額を,損益相殺により損害賠償額から控除することができる。
  1. ①ア イ
  2. ②ア ウ
  3. ③イ オ
  4. ④ウ エ正解
  5. ⑤エ オ

解説

要点
過失相殺に必要なのは事理弁識能力であって責任能力ではない。被害者側の過失には身分上・生活関係上一体とみられる者(配偶者のほか内縁の配偶者等)の過失も含まれる。素因減額は722条2項類推、生命保険金は損益相殺の対象外という判例の結論をセットで覚える。

結論

正しいのはウとエであり、選択肢4が正解である。ウは絶対的過失割合による過失相殺後の共同不法行為者の連帯責任を認めた判例、エは被害者の疾患について722条2項を類推適用できるとした判例の各規範に合致する。アは責任能力ではなく事理弁識能力で足りるとする点で、イは内縁の夫の過失も被害者側の過失として考慮できるとする判例に反する点で、オは生命保険金は損益相殺の対象とならないとする判例に反する点で、それぞれ誤りである。

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出典:法務省「令和元年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。