令和元年 司法試験 短答式 民法 第20問 解説
問題
弁済の提供に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.売買代金債権が譲渡され,債務者対抗要件が具備された場合であっても,債務者によるその代金の弁済の提供は,売買代金債権の譲渡人の現在の住所においてすれば足りる。
イ.特定物の売主は,その特定物を売買契約の締結当時から自己の住所に保管している場合,その引渡債務について弁済の提供をするに当たり,買主に対し,引渡しの準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。
ウ.賃借人には債務不履行がないのに,賃貸人が債務不履行による賃貸借契約の解除を主張して賃料の受領を拒絶し,口頭の提供をしても賃料の弁済を受領しない意思が明確である場合,賃借人は,賃料債務について,口頭の提供をしなくても,履行遅滞の責任を負わない。
エ.不法行為の加害者Aが被害者Bに対して第一審判決で支払を命じられた損害賠償金1億円の全額について弁済の提供をしたが,その後,控訴審判決において損害賠償金が2億円に増額され,それが確定した場合,Aがした弁済の提供は,無効となる。
オ.甲土地の賃貸人がその賃料の支払を催告したのに対し,賃借人が,賃貸借の目的物ではない乙土地も共に賃貸借の目的物であると主張して,甲土地の賃料額を超える額の金員を,その全額が受領されるのでなければ支払わない意思で提供した場合,債務の本旨に従った弁済の提供があったものとはいえない。
- ①ア ウ
- ②ア エ正解
- ③イ ウ
- ④イ オ
- ⑤エ オ
解説
要点
弁済の提供の場所は現在の債権者を基準に判断し(債権譲渡の対抗要件具備後は譲受人の住所)、また債務額に不足のある提供であっても、提供した額の限度では弁済の提供としての効力を生じ、後の判決による増額によって提供が全体として無効になるわけではない。
結論
誤っているのはアとエであり,選択肢2が正解である。アは債権譲渡後の弁済提供の場所を譲渡人(旧債権者)の住所とする点で誤り,エは第一審認容額についてされた弁済の提供が後の控訴審判決による増額によって「無効となる」とする点で誤りである。
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出典:法務省「令和元年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
