令和元年 司法試験 短答式 刑法 第4問 解説
問題
傷害の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
- ①傷害罪は,他人の身体の生理的機能を毀損する犯罪であるから,精神疾患の一種である心的外傷後ストレス障害(いわゆるPTSD)を負わせるなど精神的機能の障害を惹起した場合,傷害罪が成立することはない。
- ②傷害罪は,暴行罪の結果的加重犯であるから,被害者に暴行を加えずに身体の生理的機能を毀損した場合,傷害罪が成立することはない。
- ③被害者に睡眠薬を摂取させたことによって一定時間にわたり筋弛緩作用等を伴う急性薬物中毒の症状を生じさせた場合,傷害罪が成立することはない。
- ④傷害の実行行為者をその現場において精神的に鼓舞する行為が傷害罪の幇助に当たる場合,現場助勢罪が成立することはない。正解
- ⑤同時傷害の特例は,刑法の基本原理に対する重大な例外規定であり,厳格に適用されなければならないため,その要件を満たす傷害から被害者に死亡結果が生じた場合,同特例の適用により傷害致死罪が成立することはない。
解説
要点
傷害罪の「傷害」は生理的機能の毀損をいい、精神的機能の障害(PTSD)や薬物による急性中毒症状も含む広い概念である。現場助勢罪(刑法206条)は、傷害の幇助犯として処罰できない程度の助勢行為を処罰する独立の規定であり、幇助犯が成立する場合には適用されない。
結論
選択肢4が正しい。刑法206条の現場助勢罪は、傷害の現場で勢いを助ける行為のうち、傷害罪の幇助犯として処罰できない程度の行為を処罰する規定であるから、その行為が幇助犯に当たる場合には幇助犯として処断され、現場助勢罪は成立しない(大判昭和2年3月28日参照)。
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出典:法務省「令和元年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
