令和元年 司法試験 短答式 刑法 第3問オ 解説
問題
承継的共犯に関する次の各【見解】についての後記アからオまでの各【記述】を検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。【見 解】A.共犯は,一個の犯罪を共同して行うものであり,後から犯罪に加担した者も,情を知って一罪の一部に加担した以上,犯罪全体について責任を負う。B.共犯は,自己の行為と因果性がある範囲においてのみ責任を負うべきであって,自らが生じさせていない過去の事実について責任を負うべきではない。C.先行者が生じさせた結果は承継しないが,先行者が生じさせた犯行を容易にする状態が存在する場合に,後行者がその状態を利用して犯罪を実現したときには,後行者も犯罪全体について責任を負う。【記 述】
オ.甲がVに暴行を加えた後,なお強く抵抗するVに乙が甲と共謀の上で暴行を加え,Vが負傷したが,その傷害結果が共謀成立の前後いずれの暴行によって生じたかを特定できない場合,Cの見解からは,乙には傷害罪の承継的共犯は成立しないことになるのが自然であるが,この帰結は刑法第207条との関係で不均衡であるとの批判が可能である。
- ①正しい正解
- ②誤っている
解説
要点
承継的共犯のC説(先行者の生じさせた結果は承継しないが、犯行を容易にする状態の利用がある場合に全体責任を認める)を貫くと、共謀前後の暴行のいずれが傷害を生じさせたか不明な事案で後行者が傷害の責任を免れる帰結になり、意思連絡のない者にも共同正犯の例による扱いを認める刑法207条とのバランスが崩れるという批判が成り立つ。
結論
選択肢1(正しい)が妥当である。C説に立つと、乙が加担した後の暴行が傷害結果を生じさせたと証明できない以上、乙は先行者甲が生じさせたかもしれない結果について責任を負わず、傷害罪の承継的共犯は成立しないという帰結になる。これは、意思連絡のない同時傷害にすら共同正犯の例による扱いを認める刑法207条との比較で不均衡だという批判が成り立つため、記述オは正しい。
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出典:法務省「令和元年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
