令和元年 司法試験 短答式 刑法 第12問 解説
問題
業務妨害罪に関する次の【見解】についての後記1から5までの各【記述】のうち,誤っているものはどれか。【見 解】業務妨害罪は人の社会的活動の自由を保護法益とするものであるが,公務も人の社会的活動にほかならないから,公務の性質いかんにかかわらず,同罪によって保護されると解するのが妥当である。【記 述】
- ①この【見解】に対しては,公務執行妨害罪という国家的法益に対する罪と業務妨害罪のような個人的法益に対する罪とを安易に混同するものであるとの批判が可能である。
- ②この【見解】に基づけば,公務員と共に公務に従事する非公務員に暴行を加えてその公務を妨害した場合,威力業務妨害罪が成立すると考えることが可能である。
- ③この【見解】に対しては,逮捕行為のような強制力を行使する権力的公務は,暴行にも脅迫にも至らない手段による妨害を受けた時にそれを自力で排除し得るから,そのような公務まで業務として保護する必要はないとの批判が可能である。
- ④この【見解】に基づけば,公務が暴行又は脅迫によって妨害された場合,公務執行妨害罪は業務妨害罪の特別法という関係にあるから前者のみが成立すると考えることが可能である。
- ⑤この【見解】に対しては,威力や偽計による公務の妨害は公務執行妨害罪にも業務妨害罪にも当たらないこととなり,公務が業務に比して刑法上軽い保護しか受けられないという不都合があるとの批判が可能である。正解
解説
要点
公務が業務妨害罪の「業務」に含まれるかという論点では、全面肯定説(公務の性質を問わず業務妨害罪で保護されるとする見解)に立てば、威力・偽計による公務妨害も業務妨害罪の成立を肯定できる。「業務妨害罪にも当たらない」という帰結は、公務を業務妨害罪の対象から除外する消極説側の問題点であり、見解の理解を逆にすると誤る。
結論
選択肢5が誤り。設問の【見解】は公務の性質を問わず業務妨害罪(刑法233条・234条)による保護を及ぼす全面肯定説であるから、これに立てば威力・偽計による公務妨害は業務妨害罪に該当しうる。したがって「公務執行妨害罪にも業務妨害罪にも当たらない」とする選択肢5の記述はこの見解からは導けず、誤りである。
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出典:法務省「令和元年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
