令和元年 司法試験 短答式 刑法 第11問 解説
問題
次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものを2個選びなさい。
1.甲は,乙から,甲宛てに荷物を発送したので受け取ってほしいと依頼され,もしかしたら同荷物には覚せい剤を含む身体に有害で違法な薬物が入っているかもしれないと思いながら,乙が覚せい剤を忍び込ませた荷物を受け取って所持していた。この場合,甲には,覚せい剤取締法違反(覚せい剤所持)の罪が成立する。
2.甲と乙は,丙に暴行を加えて傷害を負わせることを共謀したところ,乙において,丙に暴行を加えている最中に興奮して殺意を生じ,丙を殺害した。この場合,甲には,傷害罪の共同正犯が成立する。
3.甲は,乙が第三者から窃取した指輪を,もしかしたら盗品かもしれないと思いながら,あえて有償で乙から譲り受けた後,同指輪に乙と同じイニシャルが刻み込まれていることに気付き,盗品ではないと確信するに至った。この場合,甲には,盗品等有償譲受け罪が成立する。
4.甲は,わいせつな映像を録画したDVDを,あらかじめその内容を再生して確認し,この程度ではわいせつ物には当たらないと考えて,多数の者に販売した。この場合,甲には,わいせつ物頒布罪が成立する。
5.甲は,乙を殺害しようと考え,乙の背部を狙って拳銃の弾丸を発射したところ,同弾丸が乙ではなく,乙の隣にいた丙の腹部に当たり,丙を死亡させた。この場合,甲には,乙に対する殺人未遂罪と丙に対する重過失致死罪が成立する。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5正解
- ⑧3と4
- ⑨3と5
- ⑩4と5
解説
要点
暴行・傷害を共謀した者の一方が実行中に殺意を生じて被害者を殺害した場合、殺意のない者には構成要件が重なり合う傷害致死罪の限度で共同正犯が成立する(部分的犯罪共同説)。方法の錯誤では法定的符合説・数故意犯説により、狙った客体について殺人未遂罪、現に死亡した客体について殺人既遂罪が成立する。
結論
誤っているのは記述2と記述5であり、選択肢7「2と5」が正しい。記述2は傷害罪ではなく傷害致死罪の共同正犯が成立する場面であり、記述5は重過失致死罪ではなく殺人既遂罪(数故意犯説)が成立する場面だからである。
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出典:法務省「令和元年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
