令和元年 司法試験 短答式 刑法 第8問 解説
問題
放火罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものを2個選びなさい。
1.「建造物」とは,家屋その他これに類する工作物であって,土地に定着し,人の起居出入りに適する構造を有するものをいい,毀損しなければ家屋から取り外すことができない状態にある雨戸は,「建造物」の一部に当たる。
2.「放火」とは,目的物の焼損を惹起させる行為をいい,目的物への直接的な点火行為に限られず,媒介物への点火行為であっても,その燃焼作用が継続して目的物に延焼し得るものである場合,「放火」に当たる。
3.「焼損」とは,火力により目的物の重要部分が焼失し,その本来の効用が失われた状態をいい,不燃性の建造物のコンクリート壁が媒介物の火力によって崩落した場合,「焼損」に当たる。
4.建造物等以外放火罪にいう「公共の危険」は,現住建造物等放火罪や他人所有非現住建造物等放火罪の客体である建造物等に対する延焼の危険に限られず,不特定又は多数の人の生命,身体又は前記建造物等以外の財産に対する危険も含まれる。
5.現住建造物等放火罪にいう「現に人が住居に使用し」の「人」には犯人が含まれるが,「現に人がいる」の「人」には犯人が含まれない。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4
- ⑨3と5正解
- ⑩4と5
解説
要点
焼損の意義について判例は独立燃焼説を採るため、効用喪失説的な定義(重要部分焼失+効用喪失)は誤り。また現住建造物等放火罪の『人』(住居使用・現在のいずれも)には犯人本人は含まれず、犯人以外の者を指すというのが判例の立場である。
結論
誤っているのは記述3と記述5であり,選択肢9(3と5)が正しい。記述3は判例が採る独立燃焼説と異なる定義(効用喪失説的な内容)を述べており,記述5は現住建造物等放火罪の『人』(住居使用・現在いずれについても)に犯人本人を含めてしまっている点で判例の立場と逆になっている。
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出典:法務省「令和元年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
