令和元年 司法試験 短答式 刑法 第7問 解説
問題
罪数に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい。
1.甲は,乙を恐喝して乙から財物の交付を受けるとともに財産上の利益を得た。甲には,包括して1個の恐喝罪が成立する。
2.甲は,乙ら3名をその面前で同時に恐喝して3名全員からそれぞれ財物を出させ,その3名分の財物の交付を乙から一括して受けた。甲には,3個の恐喝罪が成立し,これらは併合罪となる。
3.甲は,乙を恐喝して乙から財物の交付を受け,その恐喝の手段として用いられた暴行により乙に傷害を負わせた。甲には,恐喝罪と傷害罪が成立し,これらは併合罪となる。
4.甲は,恐喝の手段として乙を監禁し,その間に乙を脅迫して乙から財物の交付を受けた。甲には,監禁罪と恐喝罪が成立し,これらは併合罪となる。
5.甲は,乙が窃取した財物と知りながら,乙を恐喝してその財物の交付を受けた。甲には,盗品等無償譲受け罪と恐喝罪が成立し,これらは併合罪となる。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4正解
- ④1と5
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4
- ⑨3と5
- ⑩4と5
解説
要点
恐喝罪の罪数は、①同一機会の財物・利益取得は包括一罪、②複数被害者への同時恐喝は観念的競合、③恐喝の手段たる暴行による傷害は観念的競合、④監禁を手段とした恐喝は牽連犯を否定し併合罪(最判平成17年4月14日)、⑤本犯者を恐喝して盗品の交付を受けた場合は盗品等罪不成立で恐喝罪のみ、という判例の個別処理を正確に覚えておく必要がある。
結論
正しいのは記述1と4である。恐喝により財物と財産上の利益を同時に得た場合は包括一罪となり(記述1は正しい)、恐喝の手段として監禁を用いた場合、監禁罪と恐喝罪は牽連犯とはならず併合罪となる(記述4は正しい)。他の記述2・3・5はいずれも判例の処理と異なる罪数評価をしている点で誤りである。
この分野を、あなたの弱点に合わせて演習
無料で始める間違えた問題は忘れかけた頃に出し直し。論文の AI 採点も(Pro)。
出典:法務省「令和元年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
