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平成30年 司法試験 短答式 刑法 第7問 解説

問題

学生A,B及びCは,次の【事例】における甲の罪責について,後記【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から④までの( )内から適切なものを選んだ場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。【事 例】甲は,過失による自動車追突事故を偽装して保険会社から保険金を詐取することを計画し,乙に同計画を打ち明け,乙の真意に基づく同意を得た上で,自己の運転する自動車を乙が運転する自動車に追突させた。その結果,乙は軽微な傷害を負った。【会 話】学生A.被害者が自己の身体に対する傷害を同意した場合に傷害罪が成立するか否かにつき,私は,判例と①(a.同様の・b.異なる)立場に立っており,単に同意が存在するという事実だけではなく,その同意を得た動機,目的,身体傷害の手段,方法,損傷の部位,程度など諸般の事情を照らし合わせて,傷害罪の成否を決すべきであると考えます。乙の同意は,保険金詐取という違法な目的に利用するために得られた違法なものであり,これにより,乙に対する傷害行為の違法性が阻却されることはないので,甲には傷害罪が成立すると考えます。学生B.A君の見解に対しては,②(c.個人の自己決定権を重視し過ぎている・d.不可罰である詐欺の予備行為を傷害罪で処罰することになる)という批判があります。学生C.私は,乙の有効な同意がある限り,刑法によって保護すべき法益の侵害がないので,乙に対する傷害行為については,傷害罪の構成要件該当性を欠き,甲には傷害罪が成立しないと考えます。学生A.C君の見解に対しては,③(e.傷害罪の処罰根拠と合理的な関連性のない事情を考慮し過ぎている・f.死亡の結果が発生した場合に傷害致死罪が不成立となるのは不当である)と批判することが可能です。学生C.同意殺人罪に対応する同意傷害罪の規定がない以上,私の見解のように,同意傷害は不可罰であると解すべきです。学生B.しかし,④(g.同意殺人罪の法定刑に比して傷害罪の法定刑は重い・h.同意殺人罪は,殺人罪の法定刑の下限の重さが考慮されて,その減軽類型として特に設けられたものである)ので,同意傷害罪の規定がないことは理由にならないと思います。
  1. ①①a ②c ③e ④h
  2. ②①a ②d ③f ④g
  3. ③①a ②d ③f ④h正解
  4. ④①b ②c ③e ④g
  5. ⑤①b ②d ③f ④g

解説

要点
同意傷害の可罰性は、判例(最決昭和55年11月13日)が採る『同意の動機・目的・手段方法・損傷の部位程度等の諸般の事情を総合考慮する説』と、Cの『有効な同意があれば構成要件該当性を欠く説』が対立し、その各説への批判ロジック(詐欺予備の処罰、傷害致死不成立の不当性、殺人罪と傷害罪の法定刑構造の違い)を押さえることが必要。

結論

正解は選択肢3(①a②d③f④h)である。学生Aは判例(最決昭和55年11月13日)と同じ規範、すなわち同意の動機・目的・手段方法・損傷の部位程度等の諸事情を総合考慮して傷害罪の成否を決するという立場に立っており、①はa。②はAの見解への批判として、保険金詐取という不可罰の予備行為を実質的に傷害罪で処罰することになるという批判(d)が妥当する。③はCの見解(同意があれば構成要件該当性を欠く)への批判として、その帰結では死亡結果が生じた場合に傷害致死罪も不成立となり不当だという批判(f)が妥当する。④は同意殺人罪の規定が傷害罪にないことの説明として、同意殺人罪は殺人罪の重い法定刑の下限を考慮した特別の減軽類型であるという説明(h)が正しい。

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出典:法務省「平成30年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。