平成28年 司法試験 短答式 刑法 第19問 解説
問題
共犯に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,誤っているものを2個選びなさい。
1.甲がAの殺害を乙に教唆したところ,乙はAの殺害を丙に教唆し,さらに,丙はAの殺害を丁に教唆し,丁がAを殺害した。甲には,殺人罪の教唆犯が成立する。
2.乙は,路上で,Aの頭部を殴って転倒させ,Aに脳挫傷の傷害を負わせたが,その直後に駆けつけた甲は,Aが乙の暴行によって倒れて苦しんでいることを知り,Aの抵抗が困難になっている状態を利用してAに暴行を加えようと考え,乙と意思を通じ,代わる代わるAの腹部を蹴り,腹部に打撲傷の傷害を負わせた。甲には,脳挫傷の傷害についても乙との傷害罪の共同正犯が成立する。
3.甲は,乙からAの殺害計画を打ち明けられ毒薬の入手を依頼されたことから,毒薬を購入して乙に渡したが,乙は,毒薬での殺害計画を変更し,Aを包丁で刺して殺害した。甲には,殺人予備罪の共同正犯が成立する。
4.甲と乙は,A方に強盗に入ることを計画し,それぞれ包丁を持ってA方に侵入し,Aを包丁で脅した上,室内を物色していたところ,家人B,Cに犯行を目撃され,甲はBに捕まったが,乙は逮捕を免れるためCの腕を包丁で切り付けて傷害を負わせた。甲には,住居侵入罪のほか強盗致傷罪の共同正犯が成立する。
5.暴力団組員乙は,対立する暴力団組長Aを殺害することを決意し,誰にも犯行の決意を打ち明けることなく,小刀を持ってA方に向かったところ,乙の舎弟である甲は,乙の決意を察し,仮に乙がAから反撃されそうになった場合は,自分がAを殺害しようと考え,乙に何も告げることなく,拳銃を持ってA方付近に先回りして隠れていたが,乙は,玄関先に出てきたAを小刀で一突きして殺害した。甲には,乙の殺人罪の従犯が成立する。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5正解
- ⑧3と4
- ⑨3と5
- ⑩4と5
解説
要点
承継的共同正犯は先行者が既に生じさせた傷害結果まで後行者に帰責されない一方、予備罪の共同正犯・強盗の機会に生じた致傷の共同正犯は判例上肯定される。片面的幇助も判例上あり得るが、正犯の犯行を現実に促進した因果性を欠けば従犯は成立しない。
結論
誤っている記述は2と5であり、選択肢7が正しい。記述2は承継的共同正犯の帰責範囲を否定する判例の立場に反し、記述5は正犯行為への因果的寄与(促進効果)がないのに従犯の成立を認めている点で誤りである。
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出典:法務省「平成28年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
