平成28年 司法試験 短答式 刑法 第18問 解説
問題
逃走の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい。
1.勾留状によって拘置所に勾留されていた甲は,面会者から密かに差し入れられた合い鍵を用いて房の扉を開け,拘置所から逃走した。甲には加重逃走罪の既遂罪が成立する。
2.確定判決によって刑務所に収容されていた甲は,同房に服役中の乙と逃走する旨の相談をしていたところ,ある日,房の扉が施錠されていないことに気付き,房から出て刑務所から逃走したが,乙は思いとどまり,房の外に出なかった。甲には加重逃走罪の既遂罪が成立する。
3.勾留状によって拘置所に勾留されていた甲は,隣の房に勾留されていた乙に依頼して乙の同房者丙を殴ってもらい,拘置所職員が乙の行動を制止している隙に拘置所から逃走した。甲には加重逃走罪の既遂罪が成立する。
4.確定判決によってA刑務所に収容されていた甲は,B刑務所への護送中,護送車両から逃走した。甲には単純逃走罪の既遂罪が成立する。
5.甲は,勾留状によって拘置所に勾留されていた乙を逃走させるため,乙の房の合い鍵を乙に差し入れたが,乙は拘置所から逃走しなかった。甲には逃走援助罪の既遂罪が成立する。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4
- ⑨3と5
- ⑩4と5正解
解説
要点
加重逃走罪(98条)の加重事由(損壊・暴行脅迫・二人以上の通謀)は、いずれも逃走者自身の逃走の手段としての現実の行為であることを要し、合い鍵の使用(損壊でない)、一方が翻意した通謀、第三者間の暴行では足りない。他方、逃走援助罪(100条1項)は器具提供等の援助行為を終えた時点で既遂となり、被拘禁者が実際に逃走したことは不要である。
結論
正しいのは記述4と5であり、選択肢10が正解である。記述4は護送中の逃走も単純逃走罪(97条)にあたり、記述5は逃走援助罪(100条1項)が援助行為自体を処罰する類型であるため乙が実際に逃走しなくても既遂となるからである。逆に1〜3は、加重逃走罪(98条)の加重事由(損壊・暴行脅迫・通謀)を欠くため、いずれも単純逃走罪にとどまる。
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出典:法務省「平成28年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
