平成27年 司法試験 短答式 刑法 第15問 解説
問題
結果的加重犯の共同正犯の成立が認められることを前提に,次の【事例】及び各【見解】に関する後記1から5までの各【記述】を検討し,誤っているものを2個選びなさい。【事 例】甲と乙は,丙に対する傷害を共謀し,共同して木刀で丙の手足を殴打していた際,甲は丙に対する殺意を抱き,木刀で丙の頭部を殴打し,丙はその殴打により脳挫傷で死亡した。なお,乙は,甲が殺意を抱いたことを知らなかった。【見 解】A説:共同正犯とは,数人が犯罪に至る行為過程を含めた行為を共同することであり,特定の犯罪を共同して実現する場合はもちろんのこと,単なる行為を共同して各自の意図する犯罪を実現する場合も,それぞれの行為について共同正犯の成立を認める。B説:共同正犯とは,数人の者が共同して特定の犯罪を行うことであり,構成要件の間に重なり合いがあれば,そのうちのより重い犯罪について共同正犯の成立を認め,軽い犯罪の故意しかない者には,軽い犯罪の刑を科す。C説:共同正犯とは,数人の者が共同して特定の犯罪を行うことであり,構成要件の重なり合う限度で軽い犯罪の共同正犯の成立を認める。【記 述】
1.A説からは,甲と乙に殺人罪の共同正犯が成立するとの結論が導かれる。
2.B説からは,甲と乙に殺人罪の共同正犯が成立するとの結論が導かれる。
3.B説に対しては,犯罪の成立と科刑が分離するのは妥当でないと批判できる。
4.C説からは,甲と乙に傷害致死罪の共同正犯が成立し,甲には殺人罪の単独犯が成立するとの結論が導かれる。
5.C説に対しては,A説やB説から,共同正犯の成立範囲が広すぎると批判できる。
※ 該当するものを2個選ぶ問題です。2個の組合せを選んでください。
- ①1と2
- ②1と3
- ③1と4
- ④1と5正解
- ⑤2と3
- ⑥2と4
- ⑦2と5
- ⑧3と4
- ⑨3と5
- ⑩4と5
解説
要点
A説(行為共同説)は各自の意図する犯罪ごとに別罪の共同正犯を認める。B説(やわらかい・修正完全犯罪共同説)は重なり合いがあれば重い殺人罪の共同正犯の成立を認め科刑のみ軽い罪による。C説(部分的犯罪共同説)は重なり合う軽い罪の限度で共同正犯を認める。三説を混同しないこと。C説への批判は「成立範囲が狭すぎる」であり「広すぎる」ではない。
結論
誤っているのは記述1と記述5であり、選択肢4(1と5)が正しい。A説は行為共同説であり各自の意図する犯罪について別々の共同正犯を認めるため、甲は殺人罪、乙は傷害致死罪の共同正犯となるはずで、記述1の「両者に殺人罪の共同正犯」は誤り。また、C説は軽い罪の限度でしか共同正犯を認めない説なので、A説・B説からの批判は「成立範囲が狭すぎる」であるはずで、記述5の「広すぎる」という批判は誤りである。
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出典:法務省「平成27年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
