平成26年 司法試験 短答式 行政法 第30問 解説
問題
原告適格に関する次のアからウまでの各記述について,それぞれ①の法令に関する説明を前提にした場合に,②の記述が最高裁判所の判例の内容として正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.①建築基準法第59条の2第1項は,建築物の容積率制限,高さ制限に関し,一定規模以上の広さの敷地を有し,かつ,敷地内に一定規模以上の空地を有する場合においては,安全,防火等の観点から支障がないと認められることなどの要件を満たすときに限り,これらの制限を緩和することを認めている。②この規定は,建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解されるから,同条第1項の総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者は,当該許可の取消しを求める原告適格を有する。
イ.①風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「法」という。)第4条第2項第2号は,風俗営業の許可の基準につき,良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例(以下「施行条例」という。)で定める地域内に営業所があるときは風俗営業の許可をしてはならないと定め,法の委任を受けて規定された風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(以下「施行令」という。)第6条第1号イの規定は,「住居が多数集合しており,住居以外の用途に供される土地が少ない地域」を風俗営業の制限地域とすべきことを基準として定めている。②これらの規定から,法の風俗営業の許可に関する規定が一般的公益の保護に加えて個々人の個別的利益をも保護すべきものとする趣旨を含むことを読み取ることは困難であり,施行令第6条第1号イの規定は,専ら公益保護の観点から基準を定めていると解するのが相当である。そうすると,上記の基準に従って規定された施行条例が定める地域に住居する者は,風俗営業の許可の取消しを求める原告適格を有するとはいえない。
ウ.①自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)第4条第2項は,場外車券発売施設につき,申請に係る施設の位置,構造及び設備が経済産業省令で定める基準に適合する場合に限りその許可をすることができる旨定め,これを受けて規定された自転車競技法施行規則(平成18年経済産業省令第126号による改正前のもの)第15条第1項第1号は,上記の基準として,学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設(以下,これらを併せて「医療施設等」という。)から相当の距離を有し,文教上又は保健衛生上著しい支障を来すおそれがないこと(以下,この基準を「位置基準」という。)を定めている。②一般に,場外車券発売施設が設置,運営された場合に周辺住民等が被る可能性のある被害は,交通,風紀,教育など広い意味での生活環境の悪化であって,基本的には公益に属する利益というべきである。そうすると,医療施設等の開設者は,位置基準を根拠として当該施設の設置許可の取消しを求める原告適格を有するとはいえない。
- ①ア○ イ○ ウ○
- ②ア○ イ○ ウ×正解
- ③ア○ イ× ウ○
- ④ア○ イ× ウ×
- ⑤ア× イ○ ウ○
- ⑥ア× イ○ ウ×
- ⑦ア× イ× ウ○
- ⑧ア× イ× ウ×
解説
要点
原告適格は行政事件訴訟法9条2項の考慮要素(根拠法令の趣旨目的、関係法令、被侵害利益の内容・性質・態様)に沿って各判例の規範を正確に覚え分けることが必要。特に風俗営業許可(原告適格否定)と場外車券発売施設の位置基準(医療施設等開設者に原告適格肯定)は結論が対照的なので混同しやすい。
結論
選択肢2(ア○イ○ウ×)が正しい。アは総合設計許可事件判決の規範どおりで正しく、イは風俗営業許可に関する判例が原告適格を否定した内容と一致するため正しく、ウは場外車券発売施設の位置基準について医療施設等の開設者に原告適格を認めた判例と矛盾するため誤りである。
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出典:法務省「平成26年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
