平成24年 司法試験 短答式 刑法 第4問 解説
問題
次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,甲に乙又は乙社に対する脅迫罪が成立するものの組合せは,後記1から7までのうちどれか。
ア.甲は,乙に対し,乙の妻の実兄である丙を殺害する旨告知し,乙は丙が殺されるかもしれない旨畏怖した。
イ.甲は,乙株式会社総務課長丙に対して,乙社の商品不買運動を行って乙社の営業活動を妨害する旨告知し,丙は,乙社の営業活動が妨害されるかもしれない旨畏怖した。
ウ.甲は,インターネット上の掲示板に乙が匿名で行った書き込みに対し,同掲示板に「そんな投稿をするやつには天罰が下る。」旨の書き込みを行い,これを閲読した乙は,小心者だったことから,何か悪いことが起こるかもしれない旨畏怖した。
エ.甲は,口論の末,乙に対し,「ぶっ殺すぞ。」と怒号した。この様子を見ていた周囲の人たちは,甲が本当に乙を殺害するのではないかと恐れたが,乙は剛胆であったため畏怖しなかった。
オ.甲は,単身生活の乙に対し,「乙宅を爆破する。」旨記載した手紙を投函し,同手紙は乙方に配達されたが,同手紙には差出人が記載されていなかったことから,不審に思った乙は同手紙を開封しないまま廃棄した。
- ①ア イ
- ②ア ウ
- ③ア エ正解
- ④イ エ
- ⑤イ オ
- ⑥ウ エ
- ⑦ウ オ
解説
要点
脅迫罪(刑法222条)は抽象的危険犯であり相手方が現実に畏怖したかは不要である一方、告知される害悪は告知者が左右し得る具体的なものでなければならず、また告知は相手方に了知されて初めて脅迫となる。さらに脅迫罪の保護法益は個人の意思決定の自由であり、法人自体は脅迫罪の被害者とはされないのが通説・実務である。
結論
脅迫罪が成立するのはアとエであり,選択肢3が正解である。アは乙の親族(妻の実兄は3親等内の姻族として親族に含まれる)の生命に対する害悪の告知であり,刑法222条2項の脅迫罪が成立する。エは「ぶっ殺すぞ」という一般人を畏怖させるに足りる具体的な生命侵害の告知であり,相手方が現実に畏怖しなくても脅迫罪は成立する。
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出典:法務省「平成24年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
