平成22年 司法試験 短答式 刑法 第1問オ 解説
問題
次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。【事 例】甲は,知人である乙の家に遊びに行った際,乙の書斎の机の引き出し内に乙名義のキャッシュカード及びその暗証番号を記したメモがあるのを見付けた。甲は,乙の気付かないうちに同カードを使って預金を下ろしても,短時間で元の場所に戻しておけば発覚することはないだろうと考え,同カードを乙宅から持ち出した。その後,甲は,同カードを使って近くの金融機関の現金自動預払機から現金50万円の払戻しを受けた上,乙宅に戻り,同カードを持ち出してから約10分後に前記引き出し内に同カードを戻した。その際,甲は,同引き出し内に約20万円分の偽造通貨があるのに気付き,これを乙宅から持ち出した。その日の夜,甲は,その偽造通貨を真正の通貨と偽ってホテルでの宿泊代金の支払に使うこととし,Aホテルの従業員丙に宿泊を申し込み,偽造通貨であることを秘したまま,その偽造通貨で宿泊代金をあらかじめ支払って宿泊した。丙は,偽造通貨であることに気付いていれば,甲を宿泊させることはなかった。また,甲は,Aホテルに宿泊中にマッサージチェアに偽造通貨を投入してマッサージを受け,さらに,自己が宿泊している客室備付けのドライヤーを自宅で使おうと思い,これを勝手に持ち帰った。【記 述】
オ.甲がドライヤーを持ち帰った行為については,横領罪が成立する。
- ①正しい
- ②誤っている正解
解説
要点
横領罪は『自己の占有する他人の物』を対象とするため、占有の所在(誰が事実上・法律上支配しているか)をまず確定することが出発点。ホテル客室内の備品はホテル側の占有下にあり宿泊客には占有が認められないため、無断持ち出しは窃盗罪となる。
結論
甲がホテルの客室備付けのドライヤーを持ち帰った行為は、横領罪ではなく窃盗罪が成立する。ドライヤーはホテル(丙)の占有下にあり、甲の占有下にはないため、記述オは誤り=選択肢2が正しい。
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出典:法務省「平成22年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
