令和7年 予備試験 短答式 刑法 第1問 解説
問題
学生A、B及びCは、【事例】について、【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑪までの( )内に【語句群】から適切なものを入れた場合、正しいものの組合せは1から5までのうちどれか。なお、①から⑪までの( )内には、それぞれ異なるものが入る。【事 例】甲及び乙は、Xに対して傷害を負わせる旨の共謀を遂げ、それぞれ鉄パイプでXを殴った。甲は、Xが反抗的な態度を示したため激高し、Xに対する殺意を抱き、傷害の故意にとどまる乙と共にXに暴行を加えたことにより、Xは死亡した。【会 話】学生A.共同正犯の本質について(①)に立った場合、共同正犯の成立は(②)ので、【事例】では(③)ということになりますね。学生B.その考え方は(④)という問題があるのではないでしょうか。さらに、乙には(⑤)の故意がないのに、(⑤)罪の共同正犯の成立を認めることにも疑問があります。学生C.共同正犯の本質について(⑥)に立った場合、共同正犯の成立は(⑦)ので、【事例】では(⑧)ということになりますね。学生A.その考え方を一貫させると(⑨)という問題があるのではないでしょうか。学生B.共同正犯の本質について(①)に立ちつつ、構成要件が同質的で重なり合う限りにおいて共同正犯の成立を認める見解に立った場合、【事例】では(⑩)ということになりますね。学生C.その考え方によると、【事例】において、乙の行為から死亡結果が発生した場合、甲に(⑪)罪の単独犯が成立するにとどまってしまうという問題があるのではないでしょうか。【語句群】a.犯罪共同説 b.行為共同説c.同一罪名に限られる d.異なる罪名でも認められるe.甲に殺人罪の共同正犯、乙に傷害致死罪の共同正犯が成立するf.甲及び乙に傷害致死罪の共同正犯が成立し、甲に殺人罪の単独犯が成立するg.甲及び乙に殺人罪の共同正犯が成立し、乙は傷害致死罪の限度で科刑されるh.共同正犯の成立範囲が広がりすぎる i.罪名と科刑が分離するj.殺人 k.殺人未遂 l.傷害致死
- ①①a ④i ⑧e ⑩f ⑪k正解
- ②①b ③e ⑥a ⑧g ⑨i
- ③②c ⑤j ⑥b ⑨h ⑪l
- ④②d ④h ⑦c ⑧f ⑩e
- ⑤③g ⑤k ⑦d ⑩f ⑪l
解説
要点
犯罪共同説(同一罪名に限る)・行為共同説(異なる罪名でも可)・部分的犯罪共同説(重なる範囲で成立、超過部分は単独犯)という3つの立場が、甲が殺意、乙が傷害の故意で共謀した事例でどう結論を分けるかを、罪名と科刑の分離・共同正犯の広がりすぎ・軽い故意者への重い罪名の帰属という各説の弱点とセットで押さえる。
結論
選択肢1が正しい。犯罪共同説(①a)は同一罪名の共同のみを認める(②c)ため、事例では甲乙に殺人罪の共同正犯が成立し乙は傷害致死の限度で科刑されるという結論(③g)になり、これは罪名と科刑が分離する(④i)という批判を招く。行為共同説(⑥b)は異なる罪名でも共同正犯を認める(⑦d)ため甲は殺人罪、乙は傷害致死罪の共同正犯(⑧e)となるが、これでは共同正犯の成立範囲が広がりすぎる(⑨h)。両者の折衷である部分的犯罪共同説では重なり合う傷害致死罪の限度で共同正犯(⑩f)とし甲に殺人罪の単独犯を加えるが、乙の行為から死亡結果が生じた場合には甲に殺人未遂罪の単独犯(⑪k)しか成立しないという難点が残る。この整合的な組合せに完全に一致するのは選択肢1のみである。
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出典:法務省「令和7年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
