令和6年 予備試験 短答式 刑法 第10問 解説
問題
学生A及びBは、次の【事例】に関して、後記【会話】のとおり議論している。学生A及びBが後記【会話】の後も議論を続けた場合、後記1から5までの各【発言】のうち、学生Aの発言であると考えられるものを選びなさい。【事 例】甲は、酒の力を借りて妻Vを殺害しようと決意し、心神喪失状態に陥る可能性があることを認識しながら、自宅において手元に包丁を用意して大量に飲酒し、その結果、心神喪失状態に陥り、計画どおり同包丁でVを刺突して殺害した。【会 話】学生A.私は、【事例】について飲酒行為を実行行為と捉え、甲に殺人罪が成立し、完全な刑事責任を問うことができると考えます。学生B.私も、【事例】の甲に殺人罪が成立し、完全な刑事責任を問うことができると考えますが、Aさんの見解とは異なり、刺突行為を実行行為と捉えます。【発 言】
- ①あなたの見解によると、結果発生の危険との関連性が希薄な行為を実行行為と捉えることになってしまいませんか。
- ②私は、実行行為が完全な責任能力のある原因行為時における意思決定の実現であるといえれば、完全な刑事責任を問うことは可能であると考え、実行行為の時点で責任能力が存在することは必要ないと考えます。
- ③あなたの見解は、【事例】の甲は責任能力のない自己を道具のように利用して殺人を実行したと考えるのですね。
- ④あなたの見解によると、仮に【事例】の甲が飲酒して眠り込んでしまい、刺突行為を全く行わなかったとしても、殺人未遂罪が成立し得ることになりますが、それは不当ではないですか。
- ⑤私の見解によれば、実行行為の時点で責任能力が存在しなければならないとしつつ、【事例】の甲の可罰性を説明できます。正解
解説
要点
原因において自由な行為の論点では、実行行為をどこに置くか(原因行為時説か結果行為時説か)で、「実行行為時に責任能力が必要」という原則を維持できるかどうかが決まる。原因行為時説は原則維持型、結果行為時説は意思決定の実現による例外構成型と整理して覚える。
結論
選択肢5が学生Aの発言である。Aは飲酒行為(原因行為)を実行行為と捉える説であり、この説の最大の利点は「実行行為の時点で責任能力が存在しなければならない」という責任主義の原則(行為と責任の同時存在の原則)を崩さずに、甲の完全な可罰性を説明できる点にある。
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出典:法務省「令和6年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
