令和5年 予備試験 短答式 刑法 第13問ア 解説
問題
次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し、正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。【事 例】甲は、高齢女性Aから同人名義のキャッシュカード(以下「カード」という。)を不正に入手するため、甲が警察官を装いAに電話をかけ、これからA方を訪れる警察官の確認を受けながらカードを封筒に入れ、同封筒をA方において保管する必要があるとうそを言い、警察官に成り済ました乙(25歳、男性)がA方を訪れ、隙を見て同封筒を別の封筒とすり替えて持ち去り、カードを丙に渡して甲に届けさせる計画(以下「本件計画」という。)を考え、乙に本件計画の実行を指示し、乙はこれを承諾した。某日午前9時頃、本件計画に基づき、甲がAに電話をかけて上記うそを言い、乙は、同日午前9時15分頃、A方を訪ね、Aにカードを封筒に入れるよう求めた。しかし、乙の態度を不審に思ったAが、乙に身分証の提示を求めたので、乙は、逮捕を免れるとともに本件計画どおりにカードを手に入れるため、Aを手拳で多数回殴り、恐怖で抵抗できないAからカードを奪って持ち去った。同日午前9時20分頃、乙は、甲に電話で、本件計画どおりカードを入手したと伝えた。同日午前9時30分頃、甲は、丙に電話をかけ、本件計画の内容を初めて説明し、乙からカードを受け取って甲に届けるよう依頼し、丙はこれを承諾した。丙は、同日午前11時頃、乙と合流し、カードを受け取って乙と別れ、自動車でA方から約50キロメートル離れた甲方に向かったが、同日午後0時30分頃、甲方付近で降車した際、制服警察官BからA方での事件とは関係なく職務質問を受けた。その際、丙は、Bを殴り、Bに全治2週間を要する打撲傷を負わせ、その隙に上記自動車で逃走し、同日午後1時頃、甲と合流して甲にカードを届けた。その後、丙の交際相手丁は、丙が上記一連の犯行を行い、警察から捜査されていることを認識しつつ、丙を丁の自宅にかくまった。【記 述】
ア.乙がAからカードを奪った行為は、窃盗罪の実行に着手した後、Aに暴行を加えてこれを奪取したことになるから、乙に事後強盗既遂罪が成立する。
- ①正しい
- ②誤っている正解
解説
要点
窃盗犯人が財物奪取そのものの手段として暴行・脅迫を用いた場合は、事後強盗罪(238条)ではなく通常の強盗罪(236条1項)が成立する。事後強盗罪は、窃盗(既遂・未遂を問わない)の実行後に、財物確保・逮捕免脱・罪跡隠滅のためにされる暴行・脅迫を対象とする点を押さえる。
結論
乙の行為には事後強盗罪ではなく通常の強盗罪(刑法236条1項)が成立するため、記述アは誤りであり、選択肢2が正しい。乙はカードをすり替えて盗む計画が発覚したため、その場でカードを奪取する手段として暴行を加えており、これは財物奪取のための暴行であって、既に終わった窃盗の事後処理としての暴行ではないからである。
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出典:法務省「令和5年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
