令和3年 予備試験 短答式 刑事訴訟法 第16問 解説
問題
次のⅠ及びⅡの【見解】は,刑事訴訟法第220条第1項第2号及び同条第3項において,逮捕の現場における令状によらない捜索差押えが認められている根拠に関する考え方を述べたものである。これらの【見解】に関する学生AないしEの【発言】のうち,誤った発言をしている学生の組合せは,後記1から5までのうちどれか。【見解】Ⅰ.逮捕の現場には証拠の存在する蓋然性が一般的に高いので,合理的な証拠収集手段として認められる。Ⅱ.逮捕者の身体の安全を図る必要があり,また,被逮捕者による証拠の隠滅を防ぐ必要があるために認められる。【発言】学生A:見解Ⅰに立つと,被逮捕者が逮捕の現場から逃走した場合であっても,引き続きその現場の捜索が可能であると考えることができるね。学生B:見解Ⅰに立っても,見解Ⅱに立っても,差押えの対象は,逮捕の理由とされた被疑事実に関する証拠物に限られないことになるので,別途捜査中の他の事件に関する証拠物を偶然発見した場合,これを差し押さえることができるね。学生C:見解Ⅱに立つと,差押えの対象は,被逮捕者の身体及びその直接の支配下にある範囲の証拠物に限られると考えることができるね。学生D:見解Ⅱに立つと,見解Ⅰと異なり,逮捕の現場には証拠の存在する蓋然性が一般的に高いという前提は否定せざるを得ないね。学生E:見解Ⅱに立つと,同条第1項柱書の「逮捕する場合」の解釈については,現実に被疑者を逮捕することができる状況の存在が必要であると考えることができるし,見解Ⅰに立って同様に考えることもできるね。
- ①A C
- ②A E
- ③B C
- ④B D正解
- ⑤D E
解説
要点
逮捕現場の無令状捜索差押え(刑訴220条1項2号・3項)の根拠論(相当説=見解Ⅰ・緊急処分説=見解Ⅱ)は、捜索の場所的範囲や「逮捕する場合」の解釈に違いをもたらすが、いずれの見解でも差押え対象は当該被疑事実と関連する証拠物に限られ、別事件の証拠物を偶然発見しても無令状では差し押さえられない点は共通する。
結論
誤った発言をしているのは学生Bと学生Dであり,選択肢4が正解である。Bは相当説・緊急処分説いずれに立っても別事件の証拠物を無令状で差し押さえられるとする点で誤り,Dは緊急処分説が「証拠存在の蓋然性が高いという前提」自体を否定するものと誤解している点で誤りである。
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出典:法務省「令和3年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
