令和2年 予備試験 短答式 憲法 第3問 解説
問題
表現の自由に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例の趣旨に照らして,正しいものには〇,誤っているものには×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。
ア.自己の政治的意見を記載したビラを配布することは表現の自由の行使ということができるが,居住者が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分や敷地内に管理権者の承諾なく立ち入り,集合郵便受けや各室玄関ドアの郵便受けに当該ビラを投かんする行為は,管理権者の管理権を侵害するのみならず,そこで生活する者の私生活の平穏を侵害するものであるから,このような立入り行為をもって邸宅侵入の罪に問うことは許される。
イ.表現の自由も絶対無制限に保障されるものではなく,公共の福祉のため必要かつ合理的な制限は是認されるものであって,たとえ思想を外部に発表するための手段であっても,その手段が他人の財産権,管理権を不当に害するごときものは許されないといわなければならないから,私鉄の駅構内において,同駅管理者の許諾を受けずにビラ配布や拡声器による演説を行い,駅構内からの退去要求を受けながらそれを無視して約20分間同駅構内に滞留した行為を不退去罪等により処罰することは許される。
ウ.公共の福祉のため,表現の自由に対し必要かつ合理的な制限をすることは許されるが,政治的表現の自由は,民主政に資する価値を有する特に重要な権利であるから,政党の演説会開催の告知宣伝を内容とする立て看板を街路樹にくくりつける行為について,美観風致の維持及び公衆に対する危害防止の目的のために屋外広告物の表示の場所・方法等を規制する屋外広告物条例を適用して処罰することは,許されない。
- ①ア〇 イ〇 ウ〇
- ②ア〇 イ〇 ウ×正解
- ③ア〇 イ× ウ〇
- ④ア〇 イ× ウ×
- ⑤ア× イ〇 ウ〇
- ⑥ア× イ〇 ウ×
- ⑦ア× イ× ウ〇
- ⑧ア× イ× ウ×
解説
要点
表現の自由も他人の財産権・管理権との調整が必要であり、正当な目的による合理的規制(住居侵入罪・不退去罪・屋外広告物条例)を適用して処罰することは、いずれの判例でも合憲・適法とされている。「表現行為だから常に免責される」という発想は誤り。
結論
選択肢2(ア〇イ〇ウ×)が正しい。立川反戦ビラ事件・吉祥寺駅構内ビラ配布事件のいずれも、表現の自由の行使であっても管理権者の意思に反する立入りや滞留を刑罰の対象とすることを最高裁が認めており、記述ア・イはこの判例の結論と一致する。他方、大阪市屋外広告物条例事件では、政治的表現であっても屋外広告物条例による規制・処罰は合憲かつ適法とされており、ウの「許されない」という結論は判例と逆であるため誤り。
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出典:法務省「令和2年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
