令和4年 司法試験 短答式 刑法 第5問 解説
問題
次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、誤っているものの個数を後記1から5までの中から選びなさい。
ア.甲は、乙(10歳)の性器を指で触るわいせつな行為を行った。この場合、乙が同意していたのであれば、甲に強制わいせつ罪は成立しない。
イ.甲は、強制わいせつの目的を隠し、家まで送ると偽って乙を自動車に乗せて走り出し、途中でその目的に気付いた乙が降りたいと言ったにもかかわらず、同車を走行させ続けた。この場合、乙は、乗車時点では乗車に同意しているから、乙が降りたいと言った時点以降についてのみ、甲に監禁罪が成立する。
ウ.甲は、乙と保険金詐欺を共謀し、過失による自動車事故を装い、甲運転の自動車を乙運転の自動車に故意に追突させて、乙に傷害を負わせた。この場合、乙が傷害を負わされることに同意している以上、甲に傷害罪は成立しない。
エ.甲は、刑務所に服役したいと考えている乙と口裏を合わせ、乙の同意を得て、司法警察員に対し、乙に現金を窃取された旨の虚偽の被害届を提出した。この場合、乙の同意がある以上、甲に虚偽告訴罪は成立しない。
オ.甲は、現金自動預払機を利用する客のキャッシュカードの暗証番号を盗撮する機器を設置する目的で、行員が常駐しない銀行出張所内に立ち入った。この場合、甲による立入りの外観が一般の利用客のそれと異なることがなければ、甲に建造物侵入罪は成立しない。
- ①1個
- ②2個
- ③3個
- ④4個
- ⑤5個正解
解説
要点
同意(承諾)が犯罪の成否に影響するかは、保護法益の性質と同意の有効性で決まる。年少者の同意能力、欺罔による同意の瑕疵、承諾を得た動機・目的、国家的法益、管理権者の意思という各観点から個別に判断する必要がある。
結論
ア〜オのいずれの記述も判例の立場からは誤りであり、誤っている記述は5個であるから選択肢5が正しい。各記述は「被害者や関係者の同意・外観があれば犯罪不成立」という単純化した理解をしているが、判例はいずれも同意や外観の存在だけでは犯罪の成立を否定していない。
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出典:法務省「令和4年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
