令和2年 司法試験 短答式 刑法 第5問 解説
問題
共犯と錯誤に関する次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものの個数を後記1から5までの中から選びなさい。
ア.甲及び乙がAに対する暴行を共謀したが,Aの態度に激高した甲が殺意をもってAを殺害した場合,甲及び乙に殺人罪の共同正犯が成立するが,乙は傷害致死罪の刑で処断される。
イ.甲及び乙がAに対する強盗を共謀したが,その強盗の機会に,甲が過失によってAに傷害を負わせた場合,甲及び乙に強盗致傷罪の共同正犯が成立する。
ウ.甲及び乙が共謀して,公務員Aに虚偽の内容の公文書の作成を教唆することにしたが,乙はAを買収することに失敗したため,甲に無断で,Bに公文書を偽造することを教唆し,Bが公文書を偽造した場合,甲に虚偽公文書作成罪の教唆犯が成立する。
エ.甲が乙にA方に侵入して金品を窃取するように教唆して,その犯行を決意させたが,乙はA方と誤認して隣のB方に侵入してしまい,B方から金品を窃取した場合,甲にB方への住居侵入罪及びBに対する窃盗罪の教唆犯は成立しない。
オ.甲が乙の傷害行為を幇助する意思で,乙に包丁を貸与したところ,乙が殺意をもってその包丁でAを刺殺した場合,甲に殺人罪の幇助犯が成立し,傷害致死罪の幇助犯は成立しない。
- ①0個
- ②1個正解
- ③2個
- ④3個
- ⑤4個
解説
要点
共犯者間で故意の内容が食い違う場合、判例は構成要件が重なり合う限度で、各人につきその故意に対応する罪(軽い罪)の共同正犯・教唆犯・幇助犯の成立を認める(部分的犯罪共同説的処理。行為共同説からも結論は同じ)。他方、共謀・教唆の射程を超え、故意に対応する実行行為が存在しない場合には、その罪の共犯は成立しない。
結論
正しいのはイのみであり、選択肢2(1個)が正解である。ア・ウ・エ・オはいずれも判例の考え方(部分的犯罪共同説的処理、共謀・教唆の射程の限界)に照らすと誤りである。
この分野を、あなたの弱点に合わせて演習
無料で始める間違えた問題は忘れかけた頃に出し直し。論文の AI 採点も(Pro)。
出典:法務省「令和2年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
