令和2年 司法試験 短答式 刑法 第12問 解説
問題
業務妨害罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものはどれか。
- ①利用客のキャッシュカードの暗証番号等を盗撮する目的で,現金自動預払機が2台設置されている銀行の無人出張所において,そのうち1台にカメラを設置し,当該現金自動預払機に客を誘導する意図で,一般客を装い,もう1台の現金自動預払機を2時間占拠した場合,偽計業務妨害罪が成立する。
- ②講演会の主催者が閲覧する可能性を認識した上,インターネット上の掲示板に,当該講演会の会場に放火するという趣旨の書き込みをし,当該主催者に閲覧させた結果,当該講演会を中止させた場合,威力業務妨害罪が成立する。
- ③公職選挙法上の選挙長による立候補届出受理事務を妨害する目的で,その届出場所において,突如大声を発し,ボールペンを机にたたき付けるという暴行・脅迫に至らない言動を用いてその事務を滞らせた場合,威力業務妨害罪が成立する。
- ④知人Aに対する嫌がらせの目的で,同人に成り済まし,同人に無断で宅配ピザ店に電話をかけてピザ50枚を注文し,これを同人宅まで配達することを依頼して,同店店員にピザ50枚を作らせ,配達させた場合,偽計業務妨害罪が成立する。
- ⑤弁護士Xの弁護士としての活動を困難にさせる目的で,同人から,同人が携行し,その業務にとって重要な訴訟記録等が入ったかばんを奪い取った上,自宅に保管した場合,偽計業務妨害罪が成立する。正解
解説
要点
業務妨害罪の手段が「偽計」か「威力」かは、相手方を欺罔・誤信させて行うのか、それとも有形力・威勢を用いて人の意思を制圧するのかで区別する。有形力を行使して業務用の物を奪取する行為は威力にあたり、偽計ではない。
結論
選択肢5が誤り。弁護士から訴訟記録の入ったかばんを有形力を用いて奪い取る行為は「威力」を用いた業務妨害であり、判例上も威力業務妨害罪が成立するとされている(最決昭和59年3月23日)。したがって「偽計業務妨害罪が成立する」とする選択肢5の記述は誤りである。
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出典:法務省「令和2年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
