平成30年 司法試験 短答式 刑法 第14問 解説
問題
逃走の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
- ①拘置所に未決勾留中の甲は,逃走しようと考え,房内の換気孔周辺の壁を削って損壊したものの,脱出可能な穴を開けられなかった。甲に加重逃走罪の未遂罪が成立する余地はない。
- ②確定判決によってA刑務所に収容されていた甲は,B刑務所への護送中,刑務官の隙を見て護送車から脱出し,刑務官の追跡を完全に振り切って民家の庭に隠れたが,しばらくして,付近の捜索を継続していた刑務官に発見されて護送車に連れ戻された。甲に逃走罪の既遂罪が成立する余地はない。
- ③刑務官である甲は,勤務先の拘置所に未決勾留中で,自らが看守していた被告人乙を逃走させようと考え,乙の房の扉を解錠し,乙を同拘置所から逃走させた。甲に看守者逃走援助罪が成立する余地はない。
- ④確定判決によって刑務所に収容されていた甲は,その看守に当たっていた刑務官に対する単なる反抗として同刑務官を押し倒したところ,同刑務官が気絶したため,その隙に逃走しようと思い立ち,同刑務所から逃走した。甲に加重逃走罪が成立する余地はない。正解
- ⑤甲は,逮捕状により警察官に逮捕された乙の身柄を奪い返そうと考え,路上において,乙を連行中の同警察官に対し,体当たりをする暴行を加え,同警察官がひるんだ隙に,同所から乙を連れ去った。甲に被拘禁者奪取罪が成立する余地はない。
解説
要点
加重逃走罪(刑法98条)の暴行・脅迫は逃走の手段として用いられたものでなければならず、単なる反抗の結果として看守者が気絶するなどの偶発的な機会を利用して逃走しただけでは同罪は成立しない(単純逃走罪にとどまる)。
結論
正しいのは選択肢4である。加重逃走罪(刑法98条)における暴行・脅迫は「逃走の手段として」用いられたものであることを要し、看守者への単なる反抗として暴行を加えた結果、偶然生じた隙を利用して逃走したにすぎない場合には、同罪は成立しない。
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出典:法務省「平成30年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
