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平成29年 司法試験 短答式 刑法 第19問 解説

平29司法 第19問刑法共同正犯の過去問

問題

学生A,B及びCは,次の【事例】における甲の罪責について,後記【会話】のとおり検討している。【会話】中の①から⑤までの( )内から適切な語句を選んだ場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。【事 例】甲は,乙がVに対して暴行を加えていたところに通り掛かり,乙との間で共謀を遂げた上,乙と一緒にVに対して暴行を加えた。Vは,甲の共謀加担前後にわたる一連の暴行を加えられた際に1個の傷害を負ったが,Vの傷害が,甲の共謀加担前の乙の暴行により生じたのか,甲の共謀加担後の甲又は乙の暴行により生じたのかは,証拠上不明であった。【会 話】学生A.私は,共犯は自己の行為と因果関係を有する結果についてのみ責任を負うという見解に立ち,後行者は,共謀加担前の先行者の暴行により生じた傷害結果には因果性を及ぼし得ないと考えます。事例の場合,甲には①(a.暴行罪・b.傷害罪)の共同正犯が成立すると考えます。事例とは異なり,Vの傷害が甲の共謀加担後の甲又は乙の暴行により生じたことが証拠上明らかな場合,甲には傷害罪の共同正犯が②(c.成立する・d.成立しない)と考えます。学生B.A君の見解に対しては,甲に対する傷害罪の成立範囲が③(e.狭く・f.広く)なり過ぎるとの批判が可能ですね。学生C.私は,事例の場合には,同時傷害の特例としての刑法第207条が適用され,甲は,Vの傷害結果について責任を負うと考えます。その理由の一つとして,仮に甲が乙と意思の連絡なく,Vに暴行を加えた場合に比べ,事例における甲が④(g.不利・h.有利)に扱われることになるのは不均衡であると考えられることが挙げられます。学生B.乙には,甲の共謀加担前後にわたる一連の暴行の際にVに生じた傷害結果についての傷害罪が成立するのであり,傷害結果について責任を負う者が誰もいなくなるわけではないということは,C君の⑤(i.見解に対する批判・j.見解の根拠)となり得ますね。
  1. ①①a ②c ③e ④h ⑤i正解
  2. ②①b ②d ③f ④g ⑤j
  3. ③①a ②c ③f ④g ⑤j
  4. ④①b ②c ③e ④h ⑤i
  5. ⑤①a ②c ③e ④g ⑤j

解説

要点
承継的共同正犯を否定する立場(因果的共犯論に基づく消極説)では、加担後の暴行と傷害結果との因果関係が不明な場合は疑わしきは被告人の利益に従い暴行罪にとどまるが、その帰結として傷害罪の成立範囲が狭くなりすぎるとの批判がある。これに対し207条適用説は、意思連絡がある方が有利になる不均衡を根拠とするが、先行者(乙)が傷害罪で処罰される以上、責任の空白を埋める必要はないとの反論がある。

結論

選択肢1(①a ②c ③e ④h ⑤i)が正しい。学生Aの立場(因果的共犯論に基づき承継を否定する見解)では、加担後の暴行と傷害結果との因果関係が証明できない以上、甲は暴行罪の共同正犯にとどまり(①a)、加担後の因果関係が明らかな場合には傷害罪の共同正犯が成立し(②c)、この見解には傷害罪の成立範囲が狭くなりすぎるとの批判が向けられる(③e)。学生Cの207条適用説は、意思連絡のある方が意思連絡のない同時傷害よりも有利に扱われる不均衡を根拠とし(④h)、これに対し乙が別途傷害罪で処罰される以上207条を使う必要はないという批判が成り立つ(⑤i)。

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出典:法務省「平成29年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。