平成27年 司法試験 短答式 刑法 第20問エ 解説
問題
次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。【事 例】借金の返済に苦しんでいた甲とその内縁の妻乙は,A市が発行した乙を被保険者とする国民健康保険被保険者証の氏名を乙から実在しない丙に改変し,丙になりすまして消費者金融会社から借入れをして現金を手に入れることを相談した。甲と相談したとおり,乙は,上記国民健康保険被保険者証の被保険者氏名欄に乙とあるのを丙と書き換えた。そして,乙は,消費者金融会社の無人借入手続コーナーにおいて,借入申込書に丙の氏名を記載し,丙と刻した印鑑を押捺するなどして丙名義の借入申込書1通を完成させた上,同申込書及び氏名を丙に改変した上記国民健康保険被保険者証の内容を,同コーナーに設置された機械を使用し,同機械に接続されている同社本店の端末機に送信し,同社の貸付手続担当者に対し,丙であるかのように装って100万円の借入れを申し込んだ。同担当者は,当該申込みをした者が真実丙であり,かつ,貸付金は約定のとおりに返済されるものと誤信し,同社の貸付システムに従って丙名義の借入カードを上記コーナーに設置された機械から発券した。乙は,その場で同カードを入手し,同カードを現金自動入出機に挿入して同機から現金100万円を引き出した。その後,乙は,上記行為に及んだことを後悔し,自宅で,甲に一緒に自首をしようと持ち掛けた。甲は,これを聞いて激高し,乙を窒息死させようと考え,その首を絞めたところ,乙は首を絞められたことによるショックで心不全になり死亡した。甲は,乙の死亡から約30分後,死亡して横たわっている乙の指に時価20万円相当の乙の指輪がはめてあることに気が付き,同指輪を奪って逃走した。【記 述】
エ.甲は,乙を窒息死させようとしていたが,乙はそれとは別の原因で死亡するに至ったのであるから,甲には,乙の首を絞めて死亡させた行為について殺人既遂罪は成立せず,殺人未遂罪と過失致死罪が成立する。
- ①正しい
- ②誤っている正解
解説
要点
実行行為と結果との間に条件関係があり、行為の危険性が結果へと現実化したと言える限り、行為者が予期した死因(窒息)と現実の死因(心不全)が異なっても因果関係は否定されず、殺人既遂罪が成立する。
結論
選択肢2が正しい(記述エは誤り)。甲が乙の首を絞める行為は人を死に至らしめる危険性を有しており、その行為により乙が心不全を発症して死亡した以上、因果関係が認められ殺人既遂罪が成立する。窒息死という結果を狙っていたのに心不全という機序で死亡したという違いは、因果関係の存否を左右しない。
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出典:法務省「平成27年司法試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
