平成22年 司法試験 論文式 民法 出題の趣旨・論点・解説
問題
〔第1問〕(配点:100〔設問1と設問2の配点の割合は,2:8〕)
論点の一覧
出題の趣旨・採点実感をもとに、採点で問われる点を整理したものです(配点は 100 点満点に換算した目安)。
設問1
- 現物出資財産の価額不足と発起人Aの不足額てん補責任(会社法52条1項・2項柱書括弧書)8点
- 発起人Bの免責(52条2項1号・2号)の検討6点
- 設立時取締役としての責任および53条1項の任務懈怠責任6点
設問2①
- 見せ金による払込みの効力(意義・要件・当てはめ・無効の論拠)15点
- 発行された株式の効力(有効・無効・不存在の別と論拠)12点
設問2②
- Aの甲社に対する責任(423条1項の任務懈怠・損害)9点
- Bの甲社に対する責任(監視義務違反に基づく423条1項責任)6点
- 引受人丙社の甲社に対する責任(208条5項の失権,212条1項1号の類推適用等)10点
設問2③
- Aの乙銀行に対する429条1項の責任(「職務を行うについて」の内容と悪意重過失・損害・因果関係)6点
- 429条1項と2項の関係および2項の責任主体たる「取締役」の意義4点・簡潔に
- 429条2項1号ロ・ハの責任(計算書類の虚偽記載・虚偽の登記)と資料①②の分析8点
- Bの乙銀行に対する責任(429条1項・監視義務違反と悪意重過失)3点・簡潔に
全体
- 論理的構成力・文章表現(①の結論と②③の整合性)7点
出題の趣旨(法務省公表)
設問1は,株式会社成立時における現物出資財産の価額が当該現物出資財産について定款に
記載された価額に著しく不足する場合における,発起人及び設立時取締役の責任について,会
社法上の基本的な理解を問うものである。発起人及び設立時取締役につき,不足額のてん補責
任(会社法第52条第1項)の要件の該当性のほか,その免責事由(同条第2項)についての
適用除外の有無及び免責事由の当てはめ,更に会社法第53条第1項に基づく任務懈怠による
損害賠償責任の有無につき,事実関係を踏まえた記述をすることが求められる。
設問2は,株式会社の成立後における募集株式の発行に際し,その一部が仮装払込み(いわ
ゆる見せ金)による場合に,①その払込みの効力と発行された株式の効力,②見せ金による払
込みにかかわった取締役その他の取締役や見せ金による払込みを行った募集株式の引受人の会
社に対する責任及び③当該取締役の第三者に対する責任について,会社法上の基本的な理解を
問うものである。
見せ金の効力及びこれにより発行された株式の効力に関する判例や学説の状況を十分に理解
した上で,事実関係を踏まえ,①~③の各問に解答することが求められる。
①においては,見せ金による払込みの効力と発行された株式の効力を分けて論述することが
求められる。前者では,判例の立場を踏まえ,見せ金の意義,見せ金と認定するための要件と
その当てはめ,払込みの効力の論拠を検討することが必要である。後者では,判例の立場を踏
まえ,発行された株式の効力の論拠を検討する必要があり,払込無効説を採る場合には,取引
の安全への配慮のほか,無効となった払込みの実質的なてん補手段の有無や10パーセントの
資金が会社に残っていることの評価について検討することが期待され,さらに,株式の効力を
否定する場合には新株発行の無効と不存在の別,払込無効説に立ちながら株式の効力を認める
説(株式有効説)を採る場合には株式の所有者等が問題となり得る。そのほか,払込有効説を
採る場合には,取締役が払込みに係る資金を引き出して引受人に対し交付した行為の評価につ
いて検討することが期待される。
②及び③については,①において採用した結論(払込み及び株式の無効(不存在)説,払込
無効・株式有効説,払込み及び株式の有効説)と整合した記述をすることが求められる。この
記述においては,特に全体的な論理的構成力が試されている。
②においては,いずれの説に立つ場合であっても,これに整合して,会社法第423条第1
項の任務懈怠の内容及び損害の内容等について記述することや,取締役Bについては,監督(監
視)義務違反の根拠及びその内容を記述することが求められる。募集株式の引受人丙社につい
ては,会社法第208条第5項による失権の有無を踏まえ,同法第212条第1項第1号の類
推適用の可否等会社法上の責任について検討することが期待される。
③においては,取締役A及びBの両名について本件募集株式発行に関し,会社法第429条
第1項の「職務」の内容を具体的に記述することのほか,同条第1項と第2項の責任の関係,
同条第2項での責任主体となる「取締役」の意義を記述することが求められる。特に,取締役
Aの同項第1号ロ及びハの各責任の有無については,①において採用した結論との整合性に配
慮しつつ,資料①②の虚偽のある項目及び内容を分析することが期待される。
参考答案と AI 採点
この問題の参考答案(出題の趣旨と照合済み)は Pro で読めます。自分で答案を書けば、論点の一覧に沿って AI が採点し、参考答案と項目ごとに見比べられます。
答案を書いて AI 採点する出典:法務省「平成22年司法試験」(問題文・出題の趣旨。表示のため改行等を整えています)。論点の一覧・参考答案は AI を用いて X-Law合同会社が作成したもので、誤りを含む可能性があります。
