令和8年 予備試験 短答式 刑事訴訟法 第16問ウ 解説
問題
次の【事例】における【Vの証人尋問】中の①から⑤までの下線部分にそれぞれ対応する後記アからオまでの【記述】のうち、正しいものには1を、誤っているものには2を選びなさい。【事 例】甲は、令和7年9月19日午後11時頃、自宅で、妻である被害者Vに対し、頭部をガラス製の灰皿で1回殴る暴行を加えてけがを負わせた傷害事件で公判請求された。甲は、第1回公判期日において、「公訴事実記載の日時場所においてVと一緒にいたことは間違いない。もっとも、Vに暴行を加えてけがを負わせたことはなく、Vが自分で転んでけがを負ったものである。」旨を述べて犯行を否認した。甲の弁護人は、同期日において、被告人は無罪である旨を主張するとともに、検察官請求証拠として開示を受けていた(a)灰皿及び(b)Vの検察官に対する供述調書について、(a)は異議あり、(b)は不同意の意見を述べたが、甲が公訴事実記載の日時場所においてVと一緒にいた事実については争わない旨を述べた。検察官は、第2回公判期日において、立証趣旨を「本件被害状況等」として、Vの証人尋問を請求し、裁判所の証拠調べをする決定を経て、次のとおりVの証人尋問を行った。なお、同証人尋問の段階では、前記(a)及び(b)の証拠調べをする決定及び証拠調べはなされていない。【Vの証人尋問】検察官 ①あなたは、被告人甲の妻ですね。V はい。検察官 ②あなたは、令和7年9月19日午後11時頃、自宅で、甲と一緒にいましたね。V はい。検察官 自宅で、何が起こりましたか。V 甲と口論になりました。検察官 ③そのとき、甲は、どのようにあなたを殴ってきたのですか。V 甲は、ソファーに座っていた私の正面に立って、私の頭のてっぺん辺りを、テーブルに置いてあった灰皿で1回殴ってきました。検察官 その灰皿は、どういった特徴のものでしたか。V ガラス製の四角い形をした灰皿で、事件後に刑事さんに提出しました。検察官 ④同一性を確認するために、弁護人に開示済みの灰皿を示します。これは、あなたが証言した灰皿と同じものですか。V はい。私が証言した灰皿です。検察官 甲から灰皿で1回殴られた後、どうなりましたか。V どうだったかな。検察官 捜査段階で、その点について、検察官に話をしたことはありませんか。V したと思います。ただ、そのとき検察官にどのような話をしたか思い出せません。検察官 ⑤証人が思い出せないようなので、記憶喚起のために、弁護人に開示済みのVの検察官に対する供述調書の供述部分を示します。(以下省略)【記 述】
ウ.下線部③の尋問は、Vがいまだ供述していない殴打の事実を前提としているので、許されない誘導尋問である。
- ①正しい正解
- ②誤っている
解説
要点
主尋問での誘導尋問は原則禁止(刑訴規則199条の3第3項)であり、証人がまだ供述していない事実を前提として質問することは、その事実の存在を暗示する誘導尋問に当たる。例外事由(準備的事項・争いのない事項・記憶喚起の必要等)に該当するかを個別に検討する必要がある。
結論
下線部③の尋問「そのとき、甲は、どのようにあなたを殴ってきたのですか」は、Vがそれまで「甲と口論になりました」としか供述しておらず、殴打された事実自体を証言していない段階で、殴打の存在を前提として質問するものであり、誘導尋問に当たる。争いのない事項でも記憶喚起の必要がある場合でもなく、例外事由に該当しないため、許されない誘導尋問である。よって記述ウは正しく、選択肢1が正解となる。
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出典:法務省「令和8年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
