令和6年 予備試験 短答式 刑法 第6問 解説
問題
財産罪の客体に関して、学生A及びBが次の【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑥までの( )内から適切なものを選んだ場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。【会 話】学生A.私は、財産罪の客体となる「財物」の意義について、①(a.一定の空間を占める物体・b.人が管理し得る対象)を意味すると考えますので、電気を盗む行為は、刑法第245条があって初めて処罰できることになると考えます。学生B.Aさんは、同条を②(c.注意規定・d.処罰創設規定)と考えるわけですね。それでは、Aさんは、甲が名簿業者に販売する目的で、勤務先会社の書庫において、同所で管理されていた同社従業員名簿を管理権者の許可なく、自分の携帯電話機で撮影し、その画像データを保存した同携帯電話機を社外に持ち出した事案について、甲の窃盗罪の成否をどう考えますか。学生A.私は、甲に窃盗罪が③(e.成立する・f.成立しない)と考えます。学生B.Aさんは、「財物」の財産的価値についてどう考えますか。学生A.私は、判例と同じく、財産罪の客体としての「財物」には、金銭的・経済的価値を④(g.要する・h.要しない)と考えます。この点、判例は、再利用する目的で使用済みの収入印紙を持ち出した事案について窃盗罪の財物性を⑤(i.肯定・j.否定)しています。学生B.ところで、詐欺罪の客体である「財物」に関して、判例は、不動産を含むと解していますよね。それでは、乙が代金を支払う意思も能力もないのに、これらがあるように装って、不動産の所有者丙に同不動産の購入を申し込み、同不動産を乙に売却する契約を締結させ、その後、乙名義に所有権移転登記をさせた事案について、刑法第246条第1項の詐欺罪の既遂時期をいつと考えますか。学生A.私は、判例と同様、⑥(k.所有権移転の意思表示があった時点・l.現実に占有移転させ、又は所有権取得の登記を経た時点)で既遂となると考えます。
- ①①a ③f ⑥l正解
- ②①b ②c ⑤i
- ③②d ④g ⑥k
- ④③e ④h ⑤i
- ⑤③f ⑤j ⑥l(参照条文)刑法第245条 この章の罪については、電気は、財物とみなす。
解説
要点
財物=有体物説を採ると245条は処罰創設規定となり、データ撮影だけでは窃盗罪は成立しない(媒体が自己の物なら尚更)。財物性は経済的価値を要せず主観的・利用価値で足り、不動産詐欺の既遂時期は意思表示時ではなく占有移転・登記完了時である。
結論
正解は選択肢1(①a③f⑥l)である。財物を有体物と解する立場(a)を前提にすると刑法245条は電気窃盗を可能にする処罰創設規定となり、名簿データを自己の携帯電話機に保存して持ち出しただけでは他人の財物を窃取したとはいえず窃盗罪は不成立(f)となる。また不動産詐欺の既遂時期は意思表示時ではなく現実の占有移転・登記移転時(l)である。
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出典:法務省「令和6年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
