令和3年 予備試験 短答式 憲法 第7問 解説
問題
立憲主義の展開に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。
- ①1789年のフランス人権宣言は,「権利の保障が確保されず,権力の分立が定められていないすべての社会は,憲法をもたない」と規定し,近代立憲主義の立場を宣明するとともに,所有は神聖不可侵の権利とした。
- ②アメリカ合衆国では,憲法に明示的な定めはなかったが,合衆国最高裁判所の判例によって,司法審査制度が確立した。同裁判所は,大恐慌後のニュー・ディール期には,経済的自由権を重視し,政治部門と対立したが,今日では表現の自由について厳しい審査を行う立場をとっている。
- ③ドイツでは,第一次世界大戦後,社会国家の理念を体現する規定を有するワイマール憲法が成立したが,その後ナチスの台頭を招き,数々の人権侵害が行われた。現在のドイツでは,司法裁判所とは別に特別の憲法裁判所が設置され,抽象的違憲審査制度を伴う憲法保障が確立している。
- ④イギリスは,近代立憲主義の母国であるが,裁判所が,憲法典に照らして,議会の制定した法律を違憲無効とするということは行われていない。それは,イギリスが,議会主権・軟性憲法の国であるとともに,不文憲法の国であって,例えば,王位継承についても人身保護についても,成文の法規範が存在しないためである。正解
- ⑤国際的人権保障については,世界人権宣言の採択に続いて国際人権規約が発効し,その後も難民条約や女子差別撤廃条約等の個別の重要な人権条約について,我が国も締約国となった。地域的な人権条約の中でも欧州人権条約については,欧州人権裁判所が裁判的保障の役割を担っている。
解説
要点
イギリスは単一の法典化された憲法典を持たない「不文憲法」の国だが、これは王位継承法(Act of Settlement等)や人身保護法(Habeas Corpus Act)のような個別の成文法規が存在しないという意味ではない。不文憲法=成文法規の不存在、と混同しないこと。
結論
誤っているのは選択肢4である。イギリスが不文憲法の国であるというのは、単一の法典化された憲法典が存在しないという意味であり、王位継承や人身保護について成文の法規範が存在しないという意味ではない。実際には王位継承法(Act of Settlement 1701)や人身保護法(Habeas Corpus Act 1679)といった成文の個別法が存在する。
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出典:法務省「令和3年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
