令和3年 予備試験 短答式 刑法 第8問 解説
問題
横領の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
- ①所有権留保の約定付き割賦売買契約に基づき24回の均等分割払いで,自動車販売会社から自動車を購入した者が,同車の引渡しを受け,3回分の支払を済ませた時点で,同車の売却代金を自己の生活費として費消するため,同社に無断で,第三者に同車を売却し,これを引き渡した場合,当該行為は,実質的には他人の所有権を侵害する行為ではないから,横領罪は成立しない。
- ②スーパーマーケットでレジ係のアルバイトをしていた者が,担当するレジ内の売上金を自己の遊興費として費消するため,店長に無断で,同レジ内から売上金を取り出し,自己のバッグに入れて店外に持ち出した場合,当該行為は,他人の占有ではなく,その所有権を侵害する行為であるから,業務上横領罪が成立する。
- ③所有者から動産を賃借している者が,同動産の売却代金を自己の生活費として費消するため,所有者に無断で,第三者に同動産の売却を申し入れたが,同人から買受けの意思表示がない場合,他人の所有権を侵害する状態には至っていないから,横領罪は成立しない。
- ④所有者から委託を受けて不動産を占有する者が,所有者に無断で,金融機関を抵当権者とする抵当権を同不動産に設定してその旨の登記を了した後において,同不動産の売却代金を自己の用途に費消するため,更に所有者に無断で,第三者に同不動産を売却してその旨の登記を了した場合,先行する抵当権設定行為について横領罪が成立する場合であっても,後行する所有権移転行為について,横領罪が成立する。正解
- ⑤窃盗犯人から盗品の売却を依頼された者が,その売却代金を自己の用途に費消するため着服した場合,当該行為は,他人の所有権を侵害する行為であるものの,窃盗犯人との間の委託信任関係は法律上保護に値しないから,横領罪は成立しない。
解説
要点
委託を受けて占有する不動産に無断で抵当権を設定し登記を了した後、さらに無断で第三者に売却して所有権移転登記を了した場合、先行する抵当権設定行為が横領罪を構成するとしても、後行の所有権移転行為について別個に横領罪が成立する(最大判平成15年4月23日)。
結論
選択肢4が正しい。委託を受けて不動産を占有する者が、無断で抵当権を設定して登記を了した後、さらに無断で第三者に売却して所有権移転登記を了した場合、抵当権設定について横領罪が成立する場合であっても、後行の売却行為について横領罪が成立するというのが判例(最大判平成15年4月23日)の立場である。
この分野を、あなたの弱点に合わせて演習
無料で始める間違えた問題は忘れかけた頃に出し直し。論文の AI 採点も(Pro)。
出典:法務省「令和3年予備試験」(問題文は表示のため改行等を整えています)。解説は AI を用いて作成し、条文との照合と再検証を経ていますが、誤りを含む可能性があります。
